3月17日〜4月25日
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★3月17日
今日、介護慰労金申請のため民生委員さんを訪ねてきた。初対面だったけれど、とても感じのいい人でストレスを感じることもなく印を押してもらった。
ありがとうございました。

★3月18日
和ちゃん、ウンコを放出し元気にデイサービス・和みのときへ出発。今日お迎えに来てくれた湯浅さんは先日、和ちゃんの身体をシッカリ洗ってくれた20歳台の可愛い娘さん。そういうことを和ちゃんはキッチリと記憶しており、問題なく出掛けて行った。
昨日、ドカーンと我が家の一角に置かれてあったポータブルトイレを支援センターの長谷川さんに持って帰ってもらった。当分、再使用がないよう注意したい。
まあ、なにはともあれ穏やかな日々が続いている。世界的視野で考察すると緊張の糸が弾けようとしているのだけれど、オレは、オレ自身の側にある危機にしか対応できない。

★3月19日
昨夜の和ちゃんの爆睡は凄かった。デイサービスでの快い疲れか? 午後7時半に就寝。オレの気付いた限りでは今朝6時まで布団の中にいた。そしてトイレへ。なんと、10時間半もトイレにいかずじまいでいたことになり、聞くと、これだけの時間眠っていたと言う。そして、ウンコも出して快調だとも。
一昨日も林病院へお出掛けしていたし、やはり身体を動かすことはいいらしい。もっとも、一番助かるのはオレなのだけれど。
さて、今日は久しぶりに和ちゃんと買い物に出る。コーヒーを一緒に飲んで、いつも通りにプラッツを往復しよう。
天下国家の視点から見れば、ほんのささやかな二人家族だけれど今日も穏やかな一日でありたい。

ps
午前11時10分。プラッツから帰宅した。往路、和ちゃんと空を見ながら会話。
「空が青うてキレイななあ!」
「和ちゃん。“空”ゆうなあ、テレビで聞かんか?」
「あれじゃろ。ウーーーン? “なんてんさん”じゃろ」
「偉い!!」
“なんてんさん”というのは、NHK連続テレビ小説の“まんてん”のことで、主役の子供が“空ちゃん”。結構、記憶している。
もっとも、最後の最後に我が家の階段を登り切ったところで転んだけれど。左脚をちょっと擦り剥いた。オレが支えているにもかかわらず。

★3月20日
あと1時間半足らずで開戦か? という午前8時35分。
外はなにやらすばらしく快晴。和ちゃんもデイサービスへ出発していき、オレは少々手持ちぶさた。とっても贅沢な朝のように思えてしまう。
昨夜、和ちゃんは深い眠りに突入できなかったらしく、4回ほどトイレに立った。まあ、一昨夜、あれほど爆睡したのだから致し方ないかもしれない。ただ、和ちゃんがトイレに立つとオレの頭の直ぐ側を歩くことになり、オレの睡眠の妨げになる。元来が熟睡できないタイプなので参る。今日はシッカリ疲れて帰宅してもらい、早々に爆睡体勢に入ってもらいたい。
もっとも、アルツハイマー介護をしている方々の中にあっては、こんな願望は贅沢すぎるのだけれどネッ。
でもなあ、食欲もあり排尿・排便も自覚して一人で行き、夜も穏やかに眠ってくれる。介護している者としては、いつまで現状維持してもらいたい。そのために、ミニデイサービスに通わせているのだから。

★3月21日
とうとう開戦してしまったなあ! オレにも一過言あるけれど、ここは介護日記なので遠慮しておこう。
さて、今日は午前と午後、デイサービス・和みのときで和ちゃんと一緒に過ごした。少々疲れたが、今は和ちゃんとなるべく一緒に過ごすことがオレの役割だ。
で、帰路、北の迫さんに送ってもらったのだけれど、オレは彼女の仕事に臨む姿勢が好きだ。いつも悩んでいる。
「本当にこれでいいの?」
「このサービスの姿勢で正しいの?」
彼女に自信がないわけではない。ベテランなのだから。ただ、常に利用者本位で考え、よりベストを目指している。デイサービスを運営するには費用対効果も考慮しなければならず、一人一人の利用者に満足してもらおうとすると、どうしても費用対効果は悪化(スタッフの増員等々)し運営面も厳しくなる。
でも、より良いサービスを提供したい。ジレンマ。
オレはこういう真摯な気持ちで介護職に就いている北の迫さんたちが好きだ。こういう介護職員が段々に減っている。今、とにかくビジネスだ。
確かにビジネスで結構。お客さんは神様を実践してくれるなら。でも、オレが覗いてきた多くの施設ではそれを実践するにはシステム的に無理がある。
なにやらライターらしからぬ文章になったような気もするが、オレはデイサービス・和みのときの応援団であることをここに宣言したい。
とはいえ、オレもジレンマ。利用者が増えれば、西大寺までの送迎は無理だからお別れ。だからといって、デイサービス・和みのときに活気が溢れることも望んでいる。
人生、なかなか上手くいきませんなあ!

★3月22日
思惑通り、和ちゃんは昨夜と一昨夜は爆睡。昨夜は午後7時に床に入ったかと思うと即、イビキが聞こえてきた。そして爽快な気分で朝を迎える。今朝も元気良くデイサービス・ゆう倶楽部長浜へご出陣。
オレはこれから一服し、昨日撮った写真をプリントに出しに行こう。上手く撮れてますように。

★3月23日
今、3月22日の午後8時半。和ちゃんはシッカリ爆睡中。デイサービスから帰宅した日は、だいたいこんなリズムで終了する。眠り始めたのは7時少し過ぎた頃。これで6〜7時間はトイレに行かない。アルツハイマー介護としては理想的だろう。
長谷川式では7点しかとれず名誉ある要介護2を頂戴したわけだけど、今現在のオレの手の掛かりようだけで推測すれば要介護1あたりではないだろうか? もっとも、長谷川式に関しては、今再チャレンジすれば5点取れるかな? 情緒が安定していてくれれば長谷川式で0点でもいい。もう算数なんて必要ない。リンゴがリンゴでなくてもいい。何時もほがらかでいてくれれば。
そんなわけで、最近はオレも眠る前に読書ができるようになった。今読んでいるのは潮出版社から発行されている『不思議の薬“サリドマイドの話』。内容は省くが、オレが以前? 今もできれば獲得したいと謙虚に狙っている“潮賞ノンフィクション部門”の受賞作だからだ。
オレは“夢”という言葉が好きで、その“夢”があってそこに突き進んでいるときに幸せを感じることが多い。
で、最近になって突発的に企画を始めたのがこの賞取り。和ちゃんで獲得できないか? ちょっと無理かな?
まあ、そんなわけで、“災い転じて”を実践してみようかな...と考える今日この頃なのです。
さて、今日、HPに新たな写真をアップした。和ちゃんの入浴シーンもあるのだけれど、まさかこんな所で使用されているとは夢にも思っていないはず。
でも、和ちゃんはいい笑顔でオレのレンズに向かってくれる。
ありがとう!!

★3月24日
今朝早々、和ちゃんから自己申告。
「ウンコが三つ、気持ちよう出ました」
なかなか調子がいい。昨日もプラッツへ行った帰路、西大寺観音院から西大寺図書館経由で帰宅し距離的にはアルツハイマーを宣告された後の最長距離を歩いた。
食欲もあり、睡眠はといえば“武蔵”を見たあと2分後にはイビキを散音させていた。アルツハイマー病は良くはならないとされている。でも、なんかオレの側にいる和ちゃんは例外ではないのか? と想像させられてしまう。
確かに良くはならないのだろう。だけど、そうオレに想像させてくれるだけの現状というのは感謝に値する。
今日は午後から雨らしい。10時ジャストにプラッツに入れるよう、これから出陣。
もちろん、和ちゃんと一緒に!!

★3月25日
午前8時40分。和ちゃんは湯浅さんのお迎えでデイサービス・和みに出掛けていった。先週も同様だったけれど、今週も火・金がデイサービス・和み。木・土がデイサービス・ゆう倶楽部長浜ということになり週4日通うことになる。もっとも金曜日だけは、オレも同伴するけれど。
では、なぜ同伴するか? まあ、オレの良心? 表現しにくいのだけれど、週4日ということはオレといるのが週3日だから1日多いことになるわけで...。上手く記せないなあ。とはいえ、連日寝食は共にしているわけだけど。
だけどなあ、いくら調子が良いからといって日・月の二日間の四六時中、顔を付き合わせているのもキツイ。今振り返ると、階段で転倒してからの9日間、よく耐えられたと自分ながら感心カンシン。
さて、今日は16度まで気温が上昇するとか? 昨夜はその前触れか? 結構暖かく、和ちゃんが寝汗をかいており、深夜1時にシャツを替えさせた。
寒かろうが暑かろうが、気は使わなければならない。もっとも和ちゃんの場合、暑い・寒いは自己申告してくれるので助かるのだけれど。
今日は、シャンプーのいい香りを発散させてご帰宅されるはずだ。

★3月26日
昨日、デイサービス・和みのときからの報告では、和ちゃんを連れて隣接する丘の上にある神社に登ったとあった。それを読んだあと、和ちゃんに聞いた。
「和ちゃん。今日はどこか行った?」
「ウン。あんた(オレ)と行ったあそこ(神社だけど単語にならない)へ行ったよ。せえでもなあ、急に雷が鳴り出して雨が降ってきて参ったが!」
アルツハイマー病の特徴として、近々の事柄は忘れる兆候にあるらしいのだが? 和ちゃんは結構覚えていていろいろ報告してくれる。
デイサービス・ゆう倶楽部長浜にも若い男性ボランティア氏がいるのだけれど、これも和ちゃんから聞かされ、後で確認をすると事実だった。
和ちゃん。なかなか調子がいいぞ!!

★3月27日
昨日はオモイッキリ春爛漫を体感させられるかのような陽気。午前中、和ちゃんとプラッツに買い物に行ったのだけれど、あまりにも暖かいので午後にもお出掛け。コープ近所のコンビニで買い物をし、午前と午後で4キロ近くを和ちゃんは歩いた。
爆睡し、ウンコも出し、食欲もあり、歩けるようになった。情緒も安定しており、この日記のネタ探しに苦労する。とってもいいことだけどネッ!
今日はデイサービス・ゆう倶楽部長浜。明日はデイサービス・和みのとき。明後日はデイサービス・ゆう倶楽部長浜。和ちゃんは多忙だ。4月1日はデイサービス・和みのときではお花見。
しかし思う。この多忙が和ちゃん情緒安定の基なのだと。優しい人たちに囲まれて、かまってもらえる。
環境が変わるのは痴呆に良くないと言われるけど、いい方向に変わるのなら全然OKなはず。
オレはこれから、カフェラテを飲みながら“ゴルゴ13”を読むことにしている。和ちゃん。今頃デイサービス送迎車の中で笑ってるかな?
最近、“オレの時間”が取れるようになった。風呂もこの4日間で3日入ってるし。

★3月28日
昨日は、カフェラテを飲みながら“ゴルゴ13”を読むどころではなかった。
今まで見ないように心掛けてきたのだけれど、一箇所で確認するとあちこち? というか家中が埃で覆われている。
そんなわけで、見えるところだけ掃除機を唸らした。いつまでも、こんな誤魔化しは通用しないけどネッ!!
これからデイサービス・和みのときへ和ちゃんに同伴。

★3月29日
和ちゃんの週4日というデイサービスのリズムは確立された。
で昨日、金曜日はオレが同伴する日なのだけれど、デイサービス・和みのときに着いて一服した後、ツクシを採りに出た。出たといってもデイサービスの真ん前の畑。しかし、ツクシはヒョッコリとたくさん顔を出しており、和ちゃんはツクシ採りを楽しんだ。この写真は近々にHPで公開する。
そのツクシ。昼食で食べた。本当は食事も担当する料治さんが朝に採っていたものを食べたのだけれど、日本人であることを自覚させられるような味がして美味かった。オレはツクシというものを食べた記憶がなく、もしかしたら生まれて初めて食べたのかもしれない?
和ちゃんは風呂に入れてもらい洗髪後、鼻の下にウッスラと伸びた産毛を剃ってもらった。少し若返ったような顔。可愛い。
夜、サッカーの日本対ウルグアイ戦を一緒に観た。
「和ちゃん。どっちが日本か分かって観よんか?」
「あたりまえじゃが。青が日本じゃが。それくれえ分かっとるよ」
青とは日本のユニフォームカラー。
なかなかやるじゃない和ちゃん。そして試合を観ながら爆睡へと突入していった。ご苦労さまでした。
今朝、起きて早々にオレは和ちゃんに問い掛け。
「昨日、畑に出て採ったん覚えとる?」
「覚えとるよ。ウーーーーンとアレじゃが。土筆じゃが!」
ビックリ!!
で、今さっき、和ちゃんはデイサービス・ゆう倶楽部長浜へ。
ファイトー!! 和ちゃん。

★3月30日
昨日、オレはなにやら久々にオレらしいプライベートタイムを過ごした。西側緑道公園を歩き、幸町図書館で本を借り、清輝橋方面の古本屋でエッチ本をチラチラ覗き、馴染みの喫茶店で美味いアメリカンを飲み、町中を闊歩する女性たちの観察という非常に有意義な時間を過ごした。結果的に10キロ近くを歩いたことになったが、こういう疲れは心地よい疲れなのでOK。
さて和ちゃん。昨日はお疲れだったのか、夕食を済ませた午後6時半にはイビキをかいていた。今朝はスコブル元気で、今、ありもしないお金を探している。今日は、午前中に買い物。和ちゃんは張り切っている。
で、昨日、HPに写真をアップした。イメージ通りの写真が撮れてオレはちょっと嬉しい。

★3月31日
特記事項なし。
和ちゃんは今朝も、大きめのウンコ2発発射し調子よし。
今日も一日一緒だ!!

★4月1日
新年度が始まった。
といっても、オレたち二人に区切り線などはなく、日々オレは穏やかであることを願って暮らしている。和ちゃんは、もっぱらマイペースでオレの疲れなど眼中にあるわけがない。
確かに、和ちゃんのアルツハイマーとしての日々は穏やかだ。しかし、それをサポートするオレの神経は微妙に腐食していっているような気もする。視点を変えれば、逆に滑らかに太くなっているのかもしれない?
ただ、ドカーンとトマホーク的破壊に遭遇する恐れを抱えながらの日々だから呑気に構えてもいられない。
さて今日、和ちゃんはデイサービス・和みのときへ。行く前に少々ごねたのでオレはイライラ。本来は今日、お花見ということでオレも同伴する予定にしていたのだけれど、あいにくの空模様。和ちゃんには一人で行ってもらった。
もっとも、和ちゃんの消化器系統をはじめ、アルツハイマー以外は好調そのものだ。

★4月2日
昨日はえらく上機嫌で帰宅した。聞くと、
「これ『ええなあ!』ゆうて皆が言うてくれたんよ」
ということで、熊さんTシャツをデイサービス・和みのときで上手に言ってもらったらしい。実は、そのように誉めてくれるよう事前にお願いしていたのだけれど。ビンゴ!!
実は、熊さんTシャツでデイサービス出発前に和ちゃんがごねた。
「こりゃあ寝間着で着るんじゃが。家じゃったらええけど、外へやこう着ていけんよ。恥ずかしいばあじゃ」
それを無理矢理に着せて出発させた。148センチの和ちゃんには子供用が一番フィットする。熊さんTシャツも子供用だ。
帰宅して早々、和ちゃんが謝った。
「今朝はゴメンな。あんな態度はいけん」
デイサービス・和みのときの皆さん。お世話になります。

★4月3日
岡山市民病院から今(午後2時40分)帰宅した。オレの薬をもらってきた。和ちゃんはデイサービス・ゆう倶楽部長浜。今日、ブツブツ言うとお母さんに叱られるとか? 元気に出発して行った。
しかしなあ、もう少しゆっくりして帰りたいなあ。
午前8時半には、いってらっしゃい。
午後4時半には、お帰りなさい。
これだけはキッチリ厳守してきたけど、岡山で花見の光景にあちこちで出会い、チラリ“犠牲”というボキャブラリーが脳裏を過ぎってしまった。
和ちゃんが帰宅するまでに風呂に入らないといけないから、今日はここまで。
ウーーン。女性も薄着になってきたなあ!!

★4月4日
今日、オレは和ちゃんに嘘をついて髪の毛をカットしてきた。
限りなく丸刈りに近い短毛。それで終了にしようとしたのだけれど、側頭部に白髪のゴマ塩頭。いつもカットしてくれる美容室の職人は茶髪。
「オレも茶髪にしてみようかなあ? 似合うと思う?」
「キマルでしょ」
オレは生まれて初めて髪を染めた。
超短毛。ナチュラルな茶髪。そしてヒゲ。
オレは自由業を堪能している。そのお祝いに、今日は日本酒一合。
和ちゃん。ビックリするかな?

★4月5日
昨日、久々の日本酒一合は美味かったけど、えらく効いた。それを超えてムカムカしてしまった。まあ、10秒で飲んでしまったからなあ!
ところで、オレの髪の毛への和ちゃんの印象は、
「可愛いが!!」
だった。
いいんじゃないの?

★4月6日
いやあーホント! いい天気。正に春。
和ちゃんは今、洗濯物をたたんでいる。やはり手際が良い。最近、デイサービスの職員方々から、
「和子さん、今日はすごくクリアーでした」
とお誉めの言葉を頂戴することも多くなった。ありがとうございます。
今日もプラッツに行く途中、
「マスクはせんでええん?」
香港で流行っているというSARSによる肺炎のことをテレビで知り、それについてオレに質問してきたわけだ。
オレの和ちゃんに対する気持ちも少々変化気味。
一緒にいる時、“楽しい”と思えることが増えた。もちろん、怒鳴り飛ばすことも度々だけどネッ!
でも、和ちゃんの寝顔を観てると許せてしまう。お母さんか!

★4月7日
午後2時半。今、和ちゃんとテレビを観ている。
しかし、戦争をLIVEで観るとは!
和ちゃんも複雑な表情をしている。

★4月8日
午前10時。なにやら小雨が降り続いている。午後からは一気に晴れるとか? 岡山にでも出ようかと考えているけれど、どうしようか?
和ちゃんはデイサービスでいない。帰宅したときは、シャンプーの香りを漂わせて元気イッパイなのだろう。で、今日も気温は20度近くになるそうで、着せるモノにも気配りしなければならなくなった。そういえば、パンツも買ってないし。和ちゃんのパンツのほとんどが、どこか穴が空いているか空きそうになっている。プラッツで買おう!
さてと、今朝、和ちゃんをデイサービスに送り出してからの8時35分から。NHKの番組で、“痴ほう介護・施設が利用できない・苦悩する家族の体験”を見た。
ショートステイ利用を断られた理由で、“他の利用者に暴力を振るう”。痴呆介護者として、百歩譲って納得することにしよう。しかし、“協調性がない”には驚かされた。
現実はこんなところなのだろう。
一番困っている介護者・要介護者が使用出来ない介護保険。オレは久々に義憤という感情が湧いた。

★4月9日
昨日、デイサービスからの報告で、左足首が腫れていることを知らされた。確認してみると確かに腫れているので湿布した。
で、今朝、再確認してみると少し腫れがひいているので、久々にコープに買い物に出掛けた。オレがお気に入りのトイレットペーパーが必要だったのだけれど、2枚重ねヤツ。レジへ。すると隣のレジ係の女性から、
「今日はデイサービスお休みですか?」
と笑顔で問われ、和ちゃんはニコニコしながら頷いていた。デイサービスという単語を理解しているわけではないけれど、声掛けしてくれることがオレも和ちゃんも嬉しい。
そして花を買って帰宅。和ちゃんは楽しそうに花を生けた。

★4月10日
「オオ!! ナイスフィット」
オレは思わず心で叫んだ。排便したあと、二枚重ねのトイレットペーパーで肛門を拭く心地よさ。元来イボ痔が出たり引っ込んだりしているオレには、切れ痔まで抱えられない。もう、トイレットペーパーだけは節約するのをよそう。
切れ痔モイライラモ和ちゃんに爆発
これは良くない。
さて和ちゃん。今朝も元気に出発と記したいところだけど、出発前に一言。
「このセーター、着て行きとうねんじゃけど?」
そういえば、デイサービスで他の利用者さんから、
「そのセーター、私のじゃないん?」
と泥棒のように言われたと先日オレに報告していた。事実は知らないけれど、和ちゃんが悩んでいることだけは確か。
仕方がない。そのセーターを脱がせ、他のカーデガンを着せて出させた。
和ちゃんもアルツハイマーなりに、人間関係を悩んでいる。

★4月11日
今日は一日、デイサービス・和みのときで和ちゃんと共に過ごした。
穏やかで楽しい一日だった。でも疲れたかな?
ただ、カメラが作動しなくなりシャッターが切れなくなった。困った!!

★4月12日
今朝も和ちゃん、デイサービスへ元気に出発。出発前、
「大事なモノじゃから預かっといてん」
とオレにティッシュペーパーの固まりを差し出した。出発後に確認すると、一円玉と五円玉が一個づつ包まれていた。ヤレヤレ。
元気ハツラツには理由がある。昨日、風呂に入れてもらった和ちゃんはやはり早い眠りに就き、午後7時には心地よいイビキが聞こえてきていた。そして猛爆睡に突入。これだけは和ちゃんが羨ましい。
さて、昨日はドンヨリした雲行きにもかかわらず、散歩がてら極近所だけど花見を兼ねて出た。桜に桃。菜の花。オドロオドロした世界を見聞してきたオレの目にも、まだまだ美しく見える。真っ直ぐに人間らしく生きる権利があるかのように?
ここで一言。オレ自身もけっこう花が好きで、オレは好意を感じた女性には必ず花束をプレゼントする。これで嫌な顔をされたことはまだない。関係ないか? この日記には。
話が逸れたけれど、オレは家で、二度手間になるので洗い物などを和ちゃんにさせない。でも、昨日和ちゃんの行動を見ていると、シッカリ昼食後の後かたづけを手伝っている。茶碗を拭き、お盆等もキレイに布巾で拭いている。それも楽しそうに。もちろん洗濯物もたたんでいた。洗濯物をたたむのは我が家でもしてもらうけれど、やはり他人様の役にたっているという充実感というのはあるみたいだ。
和ちゃん。今のオレのほぼ全てを独占している。犠牲という言葉も過ぎるけど、オレもそこそこ幸せなのかもしれない。
だって、昨日はオレも笑いっぱなしだったから。サンキュー!!

★4月13日
今朝も春爛漫の陽気。午前9時前。和ちゃんはイラク戦争関係の番組を観ながら、テレビに向かって一人解説している。今日も絶好調の様子。
で、今日はこれからプラッツに買い物に行くのだけれど、イチゴでも買って帰ろう。
今日は、和ちゃんのご機嫌伺いをする日にしようかな?

★4月14日
今日は月一回のアルツハイマー受診のため林病院へ行ってきた。担当の林先生はいつものように優しい。和ちゃんに林先生と行っても分からないから、
「あの優しい先生の所へ行くで」
と言えば、文句なしで受診に応ずる。
“優しい”ということは“力”だ。
さて、月日が流れるのは速い。もう4月中旬だ。この陽気と共に、なにやら良いこともあるような気がしてならないのだけれど、あるかなあ?
オッ!! 忘れてた。やはり和ちゃんの左足首は腫れていて、少し熱を持っていると林先生から診断された。湿布薬をもらったけれど、少し様子をみて腫れが引かなかったら、また整形外科を受診してみよう。

★4月15日
午前7時45分。和ちゃんは、そこそこ理解しながらニュースを見ている。体調は絶好調であることに変わりはない。こうなると日記に記すこともほとんどなく、ありがたい。当分、日記を休もうかな?
ただなあ、“継続は力”でもあるし、書ける時は書いておきたいというのが本音。やはり、少しづつでも書いていこう。今、書き始めてから原稿用紙に換算して約400枚になっている。
今日も気温は20度程になるとのこと。和ちゃんがデイサービスに出たら、オレも少し動こうかな? とはいえ時間制限内に家に帰宅しておく必要もあるし、こうなってしまうと“縛り”をヒシヒシと感じてしまう。
こんなことを考えるのは贅沢か?

★4月16日
昨日、デイサービス・和みのときからの報告の一部から。
「今日は往きの車の中で、積極的に話してくれました。最近のこともよく覚えておられ驚きました」
確かに、“時間泥棒”とも比喩されるアルツハイマー病だけれど、和ちゃんの時空間はかなり安定している。もちろん、アルツハイマー病、そして以前と比較しての話だけれど。
で、なかなかできなかったファスナーの着脱が、最近は出来ることも少しづつ増えてきているような気もする。
とにかく、アルツハイマー病進行速度の緩和が一番の課題だ。

★4月17日
昨日はなかなか考えさせられる一日だった。
我が家の場合、朝食はパン。昼食はうどん。夕食はプラッツ等で買った弁当。という定番が出来上がっている。淋しい食事内容だが、オレたち二人はこれで充分。元来、食事は質素だったから。それに、今はデイサービスに週4日通っているので、そこでしっかり昼食を食べてきてくれれば栄養的には問題ないはずだ。ヨーグルトやリンゴなども適当に食べさせてるし。和ちゃんからの不服の申し立てもないし。ただ、我が家で食事をする場合はいつも一緒だ。とにかく、和ちゃんの側には何時も誰かがいる。
さて、オレは昨日、冷やしうどんを食べながら和ちゃんに聞いた。
「和ちゃん。“冷やしうどん”と“温いうどん”とどっちがええ?」
「うーん? 今の季節は、どっちでもええなあ。温いのも冷たいのも美味しいよ!」
鋭い反応が返ってきた。まだまだシッカリしているのだ。
その冷やしうどん食べていて、オレは麺汁を大量に炬燵布団にこぼしてしまった。和ちゃんがティッシュペーパーを取り出し拭こうとする。オレも布巾に水を含めて拭く。
「悪いワリイ和ちゃん。すまん」
「人間のすることじゃから、こんなこともあるが!」
オレは想像した。これが、もし和ちゃんがこぼしたとしたら?
「アホウ! 何しょんなら。いつも、ちゃんとせえ言うてようろうが。もっと注意して食べ。ええ加減にせえよホント。介護する身にもなってみい」
てなところだろう。キッチリと怒鳴り声を上げていることは間違いない。
オレは思う。和ちゃんという人は、本当に優しい女性なのかもしれない。
素敵なお母さんだ。

★4月18日
いやあ!! 昨日は本当に暑かった。初夏? オレは2時間ほど岡山繁華街をウロウロしていたら、日焼けなどをしてしまった。顔がヒリヒリする。
そして和ちゃん。昨日からズボン下を履くのを止めた。
いよいよ本格的な春だ。
オレたち二人にも春よ来い。

★4月19日
今日は、和ちゃん担当のケアマネジャーである操山在宅介護支援センター・長谷川さんが訪ねてくる。和ちゃんが通ってているデイサービス・ゆう倶楽部長浜を見学してからオレの家に寄ると昨日電話があった。
長谷川さんは20歳台の美人ケアマネジャー。恋人がいるのか? 以前質問したこともあるけど、笑って流された。これは重要なことでなくはない。オレはいいけど、オレもとりあえずは世間で言うところの男盛り。長谷川さんがオレを訪ねてくるということは、オレの家で二人きりになるということで、これはとても良いことです。
いや、そうではない。オレが言いたいのは、ケアマネジャーも大変な仕事だと思う。オレは真摯に紳士だから問題はないけれど、この状況設定を長谷川さんのご両親が知ったら仕事とはいえ遺憾に思うのでは?
オレが彼女の父親だったらスッゲエ心配。
今、そこにある危機。
さてと、昨日、デイサービス・和みのときの北の迫さんに和ちゃんのパンツ2枚を買ってもらった。やはり、オレはさすがにパンツまでは買えなかった。オムツは買えるけど、パンツをレジに持参する勇気がない。
介護者として、まだまだ甘いのでしょうか?

★4月20日
昨日の午前、オレは久々に掃除をした。午後に、和ちゃん担当のケアマネジャーである操山在宅介護支援センター・長谷川さんが訪ねてくることになっていたからだ。四角い角を丸く掃くの典型ではあったけれど、掃除機をかけた後、汗をかいているオレがいた。
で、長谷川さんが訪ねてきた。互いに色々話しをして彼女は我が家から去ったけれど、一生懸命なのが肌で感じられた。老婆心だけれど、燃え尽きないで欲しい。素敵な女性であり、これからも和ちゃんトータルコーディネーターとして相談にのってもらわなければならないのだから。
さて、和ちゃんの記憶力というのはなかなかだ。実は一昨日(金曜日)、一昨々日(木曜日)のことについて和ちゃんが話してくれた。
「昨日はなあ、加南ちゃんのお母さんも来とったんよ。加南ちゃん、学校に行きょうるらしいわ」
加南ちゃんというのは、デイサービス・ゆう倶楽部長浜の職員さんの子で、まだ1? 2?歳。学校といっても保育園なのだろうけど、お母さんが来ていたということを知らせたかったのだと思う。加南ちゃんのお母さんは毎日来ている常勤というわけではないので、和ちゃんも気になっていたのかもしれない。
とはいえ、この報告が事実がどうか判断できないので、昨日お迎えの谷口さんに聞いた。すると、確かにそうだったとのこと。
和ちゃん。アルツハイマーが良くなってきているのでは? 基本的には有り得ないことらしいけれど。
でも、やはり嬉しい。息子として。

★4月21日
今日はいい天気になりそうだ。午前7時55分。朝食、歯磨きを済ませ、和ちゃんは手鏡で髪を整えている。朝、和ちゃんのエネルギーは全開状態。眠くて起きられないということはオレの記憶にはない。
さて、昨日の日記では、“アルツハイマーが良くなってきているのでは?”と記したけれど、やはりすこしづつ進んでいる気配を感じてしまった。というのも、昨日トイレから出てきて、
「紙がないなあ?」
と言う。トイレットペーパーを便器の目前に3本も置いてあるのに。
まあ仕方がない。その後はシッカリ使用しているから。
今日も元気を出していこう!!

★4月22日
今、午後1時半。和ちゃんは昼食を済ませ、これから入浴という時間かな?
しかし、やはり時間のセッティングが上手くいかない。人に会おうにも、時間の折り合いがつかない。で、もう帰宅してしまい、こんな時間にパソコンに向かい日記を綴っている。困ったもんだ。
さて、デイサービス・和みのときの昼食に今日は“タケノコ料理”が出されたらしい。というのも、北の迫さんから携帯に連絡が入り、和ちゃんはタケノコ大丈夫との問い合わせだった。大丈夫なはずだけど、嫌がったら残させておいて欲しいと告げた。
ただ、ここでオレが言いたいことは、気配りのことだ。タケノコを食べてアレルギーから蕁麻疹が出る人もかなり多いらしく、それを心配し確認の連絡を入れてくれたのだ。ありがたい。安心して任せられるし、他人にも紹介して恥ずかしくないデイサービスだ。
網戸越しに入ってくる春風が心地よい。ちょっと昼寝でもするか。あと3時間足らずで和ちゃんは帰宅する。帰ってきたら、今日も軟式テニスボールでキャッチボールをしよう。これをしているとき、和ちゃんはすごく楽しそうだから。
オレも気配りしているなあ!!

★4月23日
なんか、イライラする。
オレは眠りが浅いのだけれど、昨夜はかなり熟睡できていた。そこを、和ちゃんがトイレに行くとき、和ちゃんの足がオレの頭に当たりオレは目を覚ましてしまった。午前3時頃か? それからは眠れなかった。
隣で寝ていないと和ちゃんが不安がるし。少し距離を空けるか?
ただし、和ちゃんの体調は良さそうだ。
「今まで見たこともないような大きいウンコが二つでたんよ、今朝は!」
羨ましい。

★4月24日
昨日、プラッツからの帰り、西大寺観音院に寄った。和ちゃんがお参りしたいというので寄ったのだけれど、観音院の階段を力強く登る。帰宅して和ちゃんの脚をジックリ観察すると、少し太くなったようにも見える。足首の腫れはまだ少し残っており、これは再度受診しなければと考慮中なのだけど、脚に限ってはかなりイケテル感じだ。
その脚を観察しているとき、ついでにパンツと靴下を替えさせたら、
「こんなもんが付いとるよ?」
とパンツに付着しているモノを触りながらオレに差し出す。昨日朝、大きいウンコ二つ出した名残だ。
「アホウ!! そんなクソいらうな」
しかし、大きいウンコ二つが出ていることに感謝するべきなのだろう。
オレはしっかり水洗いして洗濯機に放り込んだ。

★4月25日
和ちゃんが元気イッパイでデイサービス・ゆう倶楽部長浜から帰宅した。実は今、24日の夕方にこれを書いている。それには当然理由があって、一安心からの解放感からと忘れないうちに記しておきたいからだ。
トラブルは今朝、朝食後に起こった。オレは和ちゃんに歯磨きするように言い、和ちゃんは元気よく“OK”の掛け声とともに立ち上がり歯磨きを始めた。ここまでは良かった。
歯磨きも終わり、口をゆすぎ始めた。オレも良くはなかったのだけれど、オレはゆすぎ中の和ちゃんに話しかけた(何を話しかけたかは覚えていない)。すると、和ちゃんは返答しようとしたのか、口内のモノを飲み込んだ。オレはなんだか発作的に頭にきてしまい、和ちゃんの頭を軽く、本当に軽く叩いてしまった。そして、怒鳴った。普段だったらどういうこともなかったと思う。タイミングが悪かった。
オレは朝一番で、携帯にメールが入っているかどうかを確認する。すると、高校時代の約2年間を同じ屋根の下で暮らしたオレの親友からメールが入っており、おめでたい内容だった。オレは根性が少し曲がってはいるけど、こいつのめでたい事は素直に嬉しい。嬉しいのだけれど???
親友からのメッセージは、年俸1300万円。そして契約金2000万円でリクルートされたとのこと。自己実現に向けて順風満帆。このリストラの嵐が吹き荒れている昨今に。もっとも、できるヤツが勝ち組になるのは当然。こいつの根性が半端でないことはオレも十分に知っている。
で、オレは、ヤツとオレのギャップに唖然としているときに、和ちゃんが不運といか? 飲み込んでしまったのだ。
そして段々、オレ自身の人生に腹が立ってきて、方向違いなのだけれど
「もう今日は帰ってこんでええで」
の捨て台詞。和ちゃんの目は赤かった。
少し経ち、オレは後悔と反省。和ちゃんに謝った。そして、小さな身体を後から抱きしめた。握手。
で、和ちゃんはデイサービスへと出陣し、元気に帰宅してくれた。
自己嫌悪と戦う長い8時間だった。ヤレヤレ。

ps
4月25日午前9時。和ちゃんは今朝なにごともなくデイサービス・和みのときへ、湯浅さんに手を繋いでもらい出発していった。シッカリ笑ってきて欲しい。