序章2 05年 1.1〜1.22
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★05年 1月1日
“新年あけましておめでとうございます”
などと申し上げる気はサラサラない。今日は和ちゃんの冬休みラウンド2。ラウンド4まであるから正月どころの騒ぎではホンマにホンマにホンマ!!?? 全くないのだ。
さて、今、ラジカセから“歩兵の本領”が流れている。昨日から我が家では軍歌が鳴り響いているのだ。というのも、和ちゃんの誕生日プレゼントに片山基史出版プロデューサーから軍歌ベストと唱歌・童話のCDが送られてきたからだ。
で、これがなかなか良い。和ちゃんはラジカセの前に正座して、“広瀬中佐”が流れるときなどは涙を浮かべている。
軍歌。この単語を耳にしてヒステリー状態のようになる方々も多いと聞く。拒否。その先には、戦争反対。とはいえ、和ちゃんの年代の人たちには子供の頃から忘れようにも消去不可能なほど、これでもか、これでもか、と歌わされているから身体に馴染んでしまっている。“広瀬中佐”などは小学唱歌だったはずだから。
現在、小規模デイサービスなどでも軍歌は欠かせないところが多い。つまるところ、良い悪いの問題ではないのだ。お年寄りの背筋が伸びたりするのだから。
さて、昨日は突然の雪でデイサービス・和みのときが休校になり、その流れで和ちゃんの冬休みラウンド1が粛々と始まった。しかし、ここでは多くは書かないけれど、デイサービス・和みのときの北の迫さん、本当にありがとうございました。わざわざオレたちの買い出しのために西大寺まで来てくれて。和ちゃんの周囲には温かい人たちが多い。
心が暖まる素敵な年末だった。

★1月2日
現在時、元旦の午後7時半。和ちゃんは布団に入った。まだ眠りには入りそうにないけれど、ラウンド2も穏やかにに過ぎ去りそうだ。
今日昼過ぎ、とりあえず散歩に出た。かなり足腰が弱っている。400メートルが限界? しかし、トイレでは、なんであんなに踏ん張れるのだろう? 明日、コンビニまで買い物に出なければならないけれど、手押し車に座らせてオレがほとんど押すことになりそうだ。まあ、これはこれでいい。笑顔が素晴らしく復活してきたから。
風邪だけは引かせないよう要注意!!
そうそう。年末31日のウンコはまたまたメガトン級であった。
そして1月2日の朝が来て、今は朝食中。なんだか、そろそろ脚に来はじめたか...ラウンド3のゴングは鳴った。


片山基史出版プロデューサーからの誕生日プレゼント


★1月3日
昨日は朝食後、身体がフラフラすると言うので軍艦行進曲をBGMに“その場足踏み”で気合いを入れる。気合いを入れるといっても、和ちゃんも軍歌を背に顔は生き生きとイチニイチニ。オレは眠りすぎではないかな? と考えているのだけれど、家に閉じこもっているのが良くないのかも? ヤレヤレ。でも、オレはキツイ身体に鞭打つようなもんで、オレが徹底的にクリンチに逃げたい気分。
とはいえ買い物へ出た。手押し車を押しながら和ちゃんの手を取る。和ちゃんは手押し車を押せない。アルツハイマーには手押し車は無理? というか、和ちゃんにおかれましては押せない。左右への融通が利かないのだ。
でも、まあまあ、なんとかボチボチ手を繋げば進む。自分の脚で600メートルは歩いたかな? しかし、脚力は凄まじい勢いで低下しているのが判る。とにかく、トイレだけの脚力は維持したいし、そうオレも努力したい。ただ、何かの病気かもしれないので近々に血液検査をしてもらおう。
で、コンビニに向かっていると雪がまだ日陰に残っていた。
「和ちゃん。あれは何?」
「雪じゃが」
オオッ!! ファンタスティック!!
オオッ!! グレイト!!
とかなんか言いながら、とうとうラウンド4。最終ラウンドまで、なんとか踏みとどまれた。
ヨッシャ!! ファイト!! でも息が上がっている。KOされなくてもマットへ、もとい! 万年床へ崩れ落ちるか?
“アルツハイマー介護者の誉れ”などと“介護神”なんかに祭り上げられちゃったりして? キャー!!

★1月4日
現在時、3日の午後6時半。夕食を済ませ歯磨きもさせた。今、和ちゃんはガラクタで遊んでいる。ラウンド4、最終ラウンドのラストを告げるゴングはもうじき響く。長かった。
しかしなあ!! とも思う。確かに、さざ波は立ったが荒れ模様には至らなかった。
で、今朝もコンビニへ一緒にお買い物。和ちゃんは昨日以上に頑張れた。こういう時、オレは和ちゃんをスコブル誉める。誉める下地にはオレが嬉しいから。
さて、まだまだ気は抜けないけれど、この正月勝負には勝利しそうな勢い。和ちゃんもトンチンカンばかりだったけれど、可愛い和ちゃんとも多く接することができた。
あと少し、ホンマに踏ん張ろう!! 踏ん張ろう!! 踏ん張ろう!!
こんなのは化石か? でも、まだまだやってる政党は多いみたいだな。
昨年12月24日のイブより、オレは酒を断っている。そして、30日からは風呂に入ってない。身体がカユーーイ。


和ちゃん。スクワットで足腰の補強訓練
気合いだー!!


★1月4日
甘かった。昨夜は一睡もできず。
和ちゃんが一睡もせず、起きあがろうとしたり、オシッコに行っても空砲。空砲から布団に帰っても布団に入らず。オレも最後の力を振り絞り耐えるも、和ちゃんの額に2発の連打。しかし有効打に成りえず。逆にカウンター攻撃を食らう。和ちゃん、必死の形相でガブリ。手首を咬まれた。入れ歯を外していたのが幸いし、これも決定打にはならず。
そんなこんなで夜が明けて、8時50分。デイサービス・さっちゃん家のお迎えゴングに救われる。
フラフラだ。

★1月5日
昨夜の和ちゃんは爆睡。予定どおりではあったけれど、爆睡後の朝の和ちゃんがヨロシクない。全くオレの言うことを聞かない。デイサービス出陣の着替えに30分を必要とした。デイサービスに行かない、と言っているわけではない。デイサービス、つまり学校へは行かなければならないと刷り込まれている様子。オレに反抗するのだ。そして、和ちゃんが先にオレの手を払った。オレも、もちろん応戦。日々、肉弾戦だ。
さてと今日。蜂谷師匠から30日に上梓する彼の本が送られてきた。
“僕とカメラの旅物語”〜ノルマンディでコンタックス、な日々〜
えい文庫から650円。写真も多く、なかなかいいぞ!!
そしてオレ。2月12日に中国新聞社内の“こだま”という投稿者欄での講演依頼があり受けた。
風呂にも昨日と今日、連チャンで入った。垢が出まくり。擦るとまた出る。拭いても拭いても出てくるぞー。

★1月6日
今、ミーシャをBGMにパソコンに向かっている。軍歌を我が家で響かせるまでCDカセットデッキに埃をかぶせていたから、なかなか新鮮でいい。
和ちゃん、今朝も元気にデイサービス・さっちゃん家に出陣。でも、ウンコが出ない。すぐご近所まで下りてきているはずなのだけれど、“息む”という行為を忘れてしまったらしい。もっとも、肛門から顔を出せば本能で息むのだろうけど? なかなか難しい。リンゴジュースとヨーグルトの2本立ても以前のように速効性がなくなった。仕方ないか?
とはいえ、オレもそろそろカット屋に行かないとなあ! 髭も伸び放題だし、拘束されたときの元イラク大統領のような様相になってきてるからなあ!?
“形振り構わず”でもいいのだけれど.....オンナもいないし。


★1月7日
現在時7日の午前3時17分。和ちゃんがオシッコを済ませパソコンに向かっている。
で、なんでこんな時間に記しているか? 和ちゃんがまたオシッコを布団の中でした。そして、結果としてオレは和ちゃんの顔面を殴打した。今回はオレの鬼畜の本領が現れたみたいで、和ちゃんも脅えるだけで反抗はなかった。まあ、そんなこんなで今、オレは眠れないからキッチリと今回の出来事を書き残しておこうと思ったわけ。後悔と反省。そして、あらたな決意を込めて。
6日の午後9時。珍しく和ちゃんはこんな時間にウンコを放出。大きかった。5日間出てなかったのでオレは誉めに誉めた。オシッコについて聞いたのだけれど、出ないとのこと。前回のオシッコ事件からかなり経過しているので安心感はあった。
日付が変わる頃、和ちゃんが起きた。お便所と言う。オレは付き添った。アレッ? 和ちゃんのズボンが濡れている。敷き布団を確認するとビッショリ。オレはそんな驚きはなかった。そして和ちゃんの衣服を着替えさせ始めた。
ズボンとパンツを脱がせたところで、和ちゃんの股からオシッコが勢いよく飛び出し始めた。止まらない。どうにもならない。畳の上がビショビショになった。和ちゃんを素っ裸にし、トイレに行くよう命令した。すると、また出た。下半身はオシッコまみれ。トイレから出、和ちゃんにオシッコで濡れていない畳のところへ誘導するも、和ちゃんは歩き廻る。足の裏にオシッコが付着する。その足で歩くからどこもかしこもオシッコの痕跡が残る。
この時点で切れた。過去にないほどの力で顔面殴打。和ちゃんは脅えていた。
とはいえ、素っ裸の和ちゃんに服を着させないといけない。パンツ、ズボン下、靴下、シャツと着せていく。着せ終え、オレの布団に転がすように入れた。
ここから後かたづけだ。まず、畳を濡れ雑巾で拭いた。拭きながら涙が出てきた。深夜に、母親の粗相の始末に追われているオレ。なんで? 和ちゃんは布団の中からオレを見ている。左顔面が早くも腫れてきている。それを見たオレの中に潜む鬼畜の存在。オレはオレ自身が人間崩壊していくことを自覚させられる。
それでもやるべきことはしないといけない。汚れた衣服を洗濯機に入れ稼働させた。ご近所迷惑だが致し方ない。洗い上がって干す。和ちゃんはオレを見ている。腫れてきているので、熱さまシートを貼ってやる。目の下は紫にくちている。オレの心はシビレルほど痛む。和ちゃんを抱きしめた。和ちゃんが泣いた。
しかし、オレも眠る必要がある。が、オレの布団で二人寝るのはキツイ。オシッコ布団を下の階に持っていき、別の布団を敷いた。
そうこうしているうちに、切れる感触同様に、フッと吹っ切れた。この感覚はどうも説明しようがないのだけれど、“布団の中で小便するならしてくれえ”。和ちゃんも寝小便をしているわけではない。今一歩、遅れるのだ。だから、オシッコの残りが畳の上に放たれたということなのだろうから。
そう。布団を干して、衣服を洗濯すれば良し。今さっきはちゃんとオシッコに行けてるし。
オレはオレが嫌で嫌でたまらない。でも、これからも真正面から和ちゃんと向きあおうと思う。
もう、腹は立てるだろうけれど、寝小便モドキでは手はださない自信と覚悟はできた。
今、和ちゃんは爆睡している。もう、つい3時間ほど前の修羅場は忘れているのだろう。
和ちゃんとオレは、風邪を引かないよう葛根湯を飲んだ。
逃げてはいけない。
ということを記してきたけれど、これを読まれた方々。メールなどはご遠慮ください。オレと和ちゃんは、こんな形でしか、というか、オレを息子に持った不運の中でしか生きられないと思うから。だけど、オレは和ちゃんを無視はしない。肩の力を抜け、もっと気楽に、等々のメールをいただくが、オレと和ちゃんの戦なのだから。これは、本当に死闘だ。
明朝、また北の迫さんに説明しなければならないのが辛いけど、まだまだ先は長い。敷き布団も確認すると5.6枚はある。
心底から思う。今度生まれて来るときは、優しい人間でありたい。
そろそろ午前4時か。とても眠れない。


★1月7日
今朝、オレがウトウトして目を開けると和ちゃんがオレを見ている。
「オシッコ?」
ニコッと微笑んで頷いた。オレは素直に感激。またまた目頭が熱くなる。この微笑みを絶やしてはいけない。
和ちゃんは元気イッパイでデイサービス・和みのときへ出陣していった。部屋が洗濯物と布団で爆発しそうだ。


★1月8日
7日の午後8時半。和ちゃんはシッカリ爆睡モード。今夜はとりあえず12時まで起きていて、和ちゃんを起こしトイレ誘導しようと考えている。
というのも、昨夜の件と、今日はデイサービス・和みのときでも失禁したと聞かされた。シッカリ水分補給したから、との知らせもあったけど、そういう時期に到達したのかもしれない。部屋は和ちゃんの洗濯物がズラリとぶら下がっている。
しかし、和ちゃんの青痣が一層激しくなっている。北の迫さんからデイサービス失禁の件で、
「怒らんであげて」
と真摯に懇願されるように言われたときには胸にグサリときた。オレの介護力が足りないのだ。だけど、今朝はシッカリ自己申告で行けたのになあ!? 自己申告といってもオシッコという言葉で表現するのではなく、なにかを訴えるようにサインを出すから、それを見逃すとアウト。でも、なんにしてもオレが悪い。
オレは最初の失禁兆候があった翌日、昨年12月24日から禁酒している。そして今日からお釈迦寸前のテレビも部屋からかたづけた。1台、部屋にデカイのがあるけれどこれは三途の川を渡っている。つまり、和ちゃんとのコミュニケーションを増やすことにした。
まあ、これからどんな展開になるか先は見えないけれど、オレはオレに喝をいれなければならない。
開き直ってみるか....今日の生活に困っているわけでもなし。
和ちゃんの笑顔が大好きだから。


★感謝デー
北の迫さんから以下のメールをもらった。本来ならプライバシーに触れるのだけれど、涙が出てしまうほど嬉しいメールなので勝手に載せる。
●●●
こんばんは。久しぶりにホームページを読ませてもらいました。夕方は、余計なことを言ってすいません。でも、和子さんも野田さんも、私にとっても和みにとっても大事な友人です。最近のお2人の様子は見過ごせませんでした。多分、これからも余計なことをいうかもしれません。でも、2人だけではありません。きっと、周りにいる人みんな応援しています。忘れないで・・・・
●●●
49歳を目前に随分と涙腺が弱くなった。でもなあ、これだけの文面だけれど、オレは感激し、風前の灯火にも近かった敗者復活戦へのファイトがみなぎってきた。
やはり、生まれてきて良かった。

★1月9日
8日の夜だ。
昨日から今朝、和ちゃんの就寝中の失禁はなかった。8日になった0時に和ちゃんを起こしトイレへ。オシッコがシッカリ出た。午前4時過ぎにゴソゴソしているのでトイレへ誘導。出た。7時過ぎと8時50分にも。これは申告あり。
でも、なんだか荒れていて、いくら和ちゃんがアルツハイマーであるとはいえ、偉そうな物言いをされると腹が立つ。まあ、グッと押さえこんだけれど。オレの神経にスコブル悪い。
そして、デイサービス・さっちゃん家の三木さんのお迎え。しかし、靴を履く時点からトンチンカン状態。三木さんが優しくゆっくりと対応してくれ車へ。やはり、在宅介護支援センター時代から2000人以上のお年寄りに関わったというのは伊達ではない。
もっとも、三木さんは元看護士。とにもかくにも、和ちゃんは介護してくれる介護職方々には恵まれている。オレが三木さんと知り合ってから10年近くになるもんなあ!! 当時、まさか、こんな形でお世話になろうとは想像すらしていなかった。知り合った頃、オレが取材する立場で結構厳しい口調で意見されたこともあるのだけれど、利用者家族の立場になってからかな? 真の意味で三木さんの優しさと寛容さが理解できた。
さてと。和ちゃんがデイサービス・さっちゃん家から帰宅し早々にオシッコ放出。さっちゃん家では出なかったとのこと。とりあえず良し。和ちゃんの脳からオシッコ放出溝への伝達が次第に悪くなってきているけど、出る寸前には感じ取るらしく、ハイ、などと掛け声がかかることもある。空砲も多くなったけど。ヤレヤレ。
では、今晩も少し緊張感を持って警備にあたるとしますかな...と。

★1月10日
現在時9日の午後6時15分。和ちゃんと一緒に肉うどんを食べたあとこの日記を記している。和ちゃんはゴロンとオレの隣で寝転がっている。部屋には童謡の“船頭さん”が流れ、今、和ちゃんが起きだしリズムに合わせて手拍子を打ち出した。長閑なものだ。
さて、昨夜も失禁はなかった。午後10時にオレが起こしてトイレへ。ここで出た。日を越して午前3時。誘導するも出ず。しかし、和ちゃんは一度起きても爆睡への再突入が早い。そして6時。和ちゃんの自己申告でトイレへ。ジャージャーと凄い勢いで放出。
朝食後、オレが歯を磨いているとウロウロしている。
「お便所か?」
トイレでは通じないことがある。そして頷く。こういうとき、和ちゃんは自分でズボンもパンツも下ろす。オット!! ウンコが早くも顔を覗かせている。座った途端、ブットイのがメリメリと出てきた。中二日。オシッコもスコブル勢いよく出ている。二つの穴から同時に。失礼。とはいえ、ありがたいことです。和ちゃんのお尻に向かって両手を合わせる。ホンマにホンマです。
その後、和ちゃんの自己申告でオシッコへ3回。今日はキッチリ、脳から下半身へ送信されているみたいだ。油断はできないけれど、必ず信号は出しているのだと思う。誘導でオシッコが出るときより、やはり和ちゃんの本能でトイレへ向かったときの方がオシッコの勢いと量が多い。例外もあるけれど。空砲も。
でも、今日は和ちゃんとキャッチボールをしたりジャンケンをしたり、いろいろ楽しかった。
和ちゃん。サンキュー!!


9日の朝、陽ざしを浴びながら


★1月11日
今日も前日に書いている。午後6時。5時半から夕食で、食べ終えたばかり。和ちゃんは童謡を聴いている。
しかし、やはり施設入所させるということは集団感染の覚悟はしておかなければならない、ということのような気がする。職員と入所者のバランスが著しく異なり、きめ細かい対応は無理だ。オレもかなりの施設を見学してきて理解も納得もできる。特に、アルツハイマーの和ちゃんを介護しだしてからは。ただし、これは独断の私見ですから。
ではバランスを改善しろ、との声を上げる方々もいるが、すると当然、介護職員の給料が今以上に下がるだろう。決まった金額を今以上の職員で分配するのだから。介護職員の多くが現状に不満を持つのは至極当然。転職したい、という気持ちも分かる。
ノロウィルス。恐い!! インフルエンザ集団感染同様に。
ところで和ちゃん。やはりデイサービスではオシッコが出ない。今朝7時25分に放出し、帰宅するまで出さなかった。帰宅は4時半だった。9時間。膀胱もよくもこんなに踏ん張れると思う。でも昨夜は和ちゃん、一人で起きてトイレに向かっていた。もっとも、トイレの所在が判らないのだけれど。順調じゅんちょう。
今夜まで、尿採りパッドをしてもらおう。

★1月12日
昨日、ダイエー岡山店で和ちゃんのパンツを4枚補強した。ただ、オレはやはり、知らぬ知らぬうちに疲れているようだ。和ちゃんのパンツを持って、ウィングとかワコールのインナーとかの売り場でパンティーとショーツを眺め、あやうく手に取ろうとしていたのだから。オット!! 我に返りスッゲー恥ずかしくレジにダッシュ。困ったもんだ。まあ、基本的にそんな病気はあった。
今朝、和ちゃんが突然泣き出し、
「お母さん、どこ行ったん?」

★1月13日
昨日、微熱があったので寝て過ごした。微熱といっても37.0度。まあ、和ちゃんなんら平熱なのだけれど、基礎体温の低いオレにとっては注意報発令モード。でもなあ、めんどくさいけれど北風吹くのに買いだしにはでないといけない。だから行った。今日は平熱。
しかし、なんだかイライラする。男性更年期か? 更年期障害というのは自立神経と深く関わっているそうだから。これを卒業すると閉経? オトコは精子が出来なくなったりして? それもいいな。
和ちゃんは元気イッパイでデイサービス・さっちゃん家へ。

★1月14日
「お母ちゃん」
昨日、デイサービス・さっちゃん家の三木さんが送ってきてくれ、別れ際、三木さんにそう叫んだ。こんなのは初めてのことだ。スコブル優しくしてもらっているのだろう。最近、お母さんという発言が多くなっているのも事実ではあるけれど。
で、我が家に時事通信社から本が届いた。ダブルスコブルで良い。梱包を開くまで、表紙は並制かと思っていたのだけれど上製。つまり、ペラではなくシッカリ硬いやつですね。一気に疲れが吹っ飛んだ。自画自賛になるけれど、素晴らしくいいぞホンマにホンマ!!
オオッ!! まずいぞ。今、図書館で借りて読もうとイメージした方々。今回は書店で買ってね。お・ね・が・い・だから。
しかし、最近の和ちゃんは、なんだかとってもクリア。眠りの深さも復活し、そしてモソモソ起きてトイレを探す。これで良し。それ以上は望まない。でも、今度オシッコを布団に出しても、“絶対に怒らない”と誓った。ダメならオレはやはり鬼畜だ。だけどだけど、風邪を引かせないためには怒鳴って服を着替えさせないとなあ。寝ぼけも混じっているからオレは汗だらけになるし、和ちゃんはスッポンポンでいる時間が長くなるし。
オレの介護力が問われている。

★1月15日
昨日は久々にチョコチョコと岡山繁華街を闊歩してきた。大変お世話になっている吉備人出版にも顔をだし、今回の本を謹呈してきた。他社の本にもかかわらず社長の山川さんは喜んでくれ、なんだか人間の情に触れる歓びを味わった。過去に3冊出版してもらっており、いつか二塁打くらいの本を吉備人から世に送り、恩返ししたいものだ。
今回の本、岡山での店頭販売は月曜からになるらしい。
でと。和ちゃんはデイサービス・和みのときで普段どおりの生活だったとの報告。でも、もしもの時用に、下着とか替えの服一式を和みのときに置いといてもらうことにした。なにごともなければナイスだけれど。
ところで、和ちゃんに軍歌を聴かせると落ちつくというか安定しているので、新たな軍歌のCDを買い求めてレコード店を彷徨ったのだけれど、片山出版プロデューサーからのプレゼント以外のCDが見あたらない。軍歌を置いてない所もあり、少しガッカリ。和ちゃんが口ずさんでいた、“兵隊さんの歌”というタイトルかどうかも判らないのだけれど、それが欲しいのですね。もっと、探してみよう。和ちゃんの記憶では、
♪♪トットコトットコ歩いてる、兵隊さんは元気だな♪♪
そして今朝の午前3時半。和ちゃんとトイレへ。モコモコとウンコが。太すぎるのでなかなか出てこない。風邪を引かせないためにジャンパーを着せる。なんだかんだで15分間。オレはもう眠れない。和ちゃんはウンコすら出したことを忘れ別世界という眠りの中へ。

★1月16日
いやあ参った。
夢の中でまで和ちゃんのトイレ誘導しているオレ。シビレル。でも和ちゃん。オレより高速で走って行ってしまったなあ!! あれから和ちゃんはどこに行ったんだろう? ウーム!? 和ちゃんにコッパミジンに振り回されている。和ちゃんに始まって和ちゃんで終わる。と記したいところだけれど、夢の中までこの調子だと、和ちゃんに始まってズーーート継続中、ということになってしまっている。これはキツイ!!
ところで、思い出したのだけれど、和ちゃんがデイサービス・和みのときで失禁した後、和ちゃんは紙オムツを履いて帰宅した。これはこれで良い。ただ息子として、初めて見る和ちゃんのオムツ姿に少なからず動揺した。もっとも、あれからは履いてないけれど。
とはいえ、紙オムツといってもスコブル的にパンツなんだなあ。動揺はしたけれど、和ちゃんのお尻にフィットした薄いピンク色の紙オムツが可愛いくも見えた。
せえでも、紙オムツパンツは高すぎるで。やっさしいがなホンマ!!

★1月17日
昨日、片山基史出版プロデューサーと北海道のJ.Kさんから頂いたプレゼント。


「兵隊さん」(1932<昭和7>年文部省唱歌)

鉄砲かついだ
兵隊さん、
足並そろへて
歩いてる。
とっとことっとこ
歩いてる。
兵隊さんは
きれいだな。
兵隊さんは
大すきだ。


お馬に乗つた
兵隊さん、
砂を蹴立てて
かけて来る。
ぱっぱかぱっぱか
かけて来る。
兵隊さんは
勇ましい。
兵隊さんは
大すきだ。



片山さん、そしてJ.Kさん、どうもありがとうございました。和ちゃんと一緒に歌いました。
和ちゃんは歌いながら半なき状態。
でも、今日は一緒にイッパイ笑ったなあ。イヒヒ・エヘヘ....

★1月18日
あと一ヶ月で49歳か...言葉がない。
今朝、起床のため布団を剥がすと、和ちゃんが泣いていた。
「どしたんなら和ちゃん?」
「お父ちゃんが死んだーー。ウワアーー!!」
ヤレヤレですわホンマ!!

★1月19日
和ちゃん、最近はなかなか調子が良い。失禁の兆候もなく、夜も自分で起きてトイレへ。でも、トイレがどこにあるか分からない。昨夜もガタンという音がしたのでオレも目が覚める。布団をゴソゴソしていると普段は気づくのだけれど、昨夜はオレの眠りも深かった様子。
で、和ちゃんがファンヒーターが置いてあるところのガラス襖? を開けようとしている。トイレとは反対方向。和ちゃんの手を取りトイレへ。
♪♪ジャジャジョジョー♪♪
快音を鳴り響かせ豪快なオシッコ。そして布団に戻り、即、深いフカーーイ睡眠へ。一段落だけれど、あのまま放置しておくとそこら辺りへ放尿。2時間前に誘導してトイレへ行ったときは空振りだったのに。
この気苦労はシビレル。まあ、ファンヒーターは自動で止まるにしても、ガラスに衝突すると一大事。
そして、オレの禁酒はまだ継続中。

★1月20日
オレがクソをしていると、和ちゃんが
「学校に行ってくるから」
クソもノンビリできないなあ!?
オレのパンツを手洗いする情けなさ。肛門を拭く数秒の持ちタイムもなかったからなあ!!

★1月21日
和ちゃん。どういうわけか? スコブル順調な日々が経過している。それはオレの怒る度合いで判断できる。なんか、最近、優しいオレがいる。
和ちゃんが順調だからオレが怒らないのか?
オレが怒らないから和ちゃんが順調なのか?
しかし、そうはいってもオレの疲れは慢性化状態。クソもオチオチできないから神経も参る。ただなあ、和ちゃんはデイサービスだけはキッチリと行ってくれるから助かるなあ。お迎え時の挨拶も、
「おはようございます」
シッカリ頭を下げて、両手が膝の所へ行くもんなあ! ヤッパ、こういう和ちゃんは可愛い。
特別、記すことはない。結構けっこう、♪コケコッコウー♪。

★1月22日
日本酒を断ってほぼ一ヶ月。アルコールとは一切、無縁だった。和ちゃんのトンチンカンと真正面から向きあうためだったけれど以外なことが。が治った。イボは引っ込み、切れることもなくなった。クソのあと、フキフキも楽チン。ヤッホー!!
元来、オレはギャンブルとタバコはやらなかった。そしてアルコールも禁。オンナは大好きだけれど、皆、去っていった。つまり、セックスはしたいけれどできない。そして和ちゃんの介護の日々。
オレはもしかして、このまま聖人の仲間入りするのではないだろうか?
ところで、もう古い話しになってしまった様相でもあるけれど、“認知症”。なんで?
“痴呆”じゃなんでヨロシクないの? そんな事は多方面で見聞してきたけれど、和ちゃんを考察していると、認知がどうのこうの、なんて状況ではない。言葉だけキレイにしてもダメなもんはダメ。真正面から在宅で痴呆の家族に向きあっている方々にとって、この呼称の変更に意味を見いだせる人は多いだろうか?
オレは、自身の講演でも痴呆で通す。だって、和ちゃんはどこからどうみても“認知症”などというアカデミックな病気じゃない。ボケ。可愛くて良いとオレは思うのだけれど。
野田和子は、今、“和ちゃん”の呼称がピッタリのように。野田さん、と呼ばれても、和ちゃんは返事しないでホンマ!! 和子さん、と呼んでもらってるなあデイサービスでは。



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