目の前にある危機 4.12〜5.8
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★4月12日新たな始まり
12日午後8時20分。
ついさっき、看護婦をやっている貴美子が我が家から自宅に向かった。仕事帰りに貴美子に寄ってもらったのには当然、理由がある。これからは、貴美子がオレと和ちゃんの介護人生に大きく関わってくることになること間違いないからだ。



貴美子と和ちゃん

実は和ちゃん、やはり左脇の肋骨が骨折していた。2本も!! 西大寺病院から帰宅し、オレは和ちゃんが不憫で一人泣いた。勝手に涙が溢れた。オレが叩いて和ちゃんの肋骨が折れた。
デイサービス・さっちゃん家から帰宅したとき、三木さんから、和ちゃんがかなり痛みを訴えていたと報告を受けた。病院で診断するよう強く勧められた。
4時半から外来をやっている西大寺病院へ行った。ここは元々が整形を基本とする病院だった。和ちゃんはアルツハイマー。病院で診断を受けさせるということは至難。でも、やるしかない。
この時間の外来は空いていた。10分ほどで診察室へ。オレの虐待であることを素直に話した。突然、こんな声が。
「野田さん。新聞に掲載されとったばあじゃが。もう、本が書けんよ」
婦長さんから笑いながら、オレたちのことを知っていることを告げられた。
レントゲン室に入った。和ちゃん一人では無理だった。だからオレも一緒に入った。腹に鉛の腹巻きをして。
写真を見せられた。素人目に見ても、二本の骨が折れているのが分かる。三木さんの説明では、くしゃみをして肋骨が折れた老人もいるそうだから、オレもとんでもないことをしたもんだ。ただ、オレと一緒のときはあまり痛みを訴えない。今、和ちゃんはバストバンドをして熟睡している。厳しい状況であれば布団で寝ることもできないと貴美子が説明してくれた。
骨折していたことをデイサービス・さっちゃん家に報告。デイサービス・和みのときの北の迫さんにも知らせた。誰もオレを責めない。オレが落ち込んでいるのを察知しているのだろう。
オレは情けない。でも、今、オレがオレに罰を与えるわけにはいかない。キッチリと和ちゃんのフォローをしなければ。虐待しといて、そんなことができるのか? 自問自答の世界に入り込む。
とにかく、和ちゃんが逝ったあとにミソギはする。今は、和ちゃんの骨の回復に向けて前進あるのみだ。
和ちゃん。本当にゴメン。
でもなあ、正直なところ、帰宅して和ちゃんが電気の配線コード差し込みを踏んづけていた。怒りが湧いた。耐えたけれど、オレの辛抱などはそんなもんだ。
また、夜が来た。




★4月13日
昨日の日記で書き忘れていたけれど、貴美子には18日午後3時半に我が家に来てもらい、デイサービス・さっちゃん家へ和ちゃんを迎えに行き、そこから西大寺病院へ向かってもらうことにしている。一人では半端ではなくキツイ。昨日、病院から帰宅時のタクシー運転手の表情には“迷惑”と“蔑み”が見えた。
昨日の夜、和ちゃんはかなり痛かった様子で、眠っていながらも唸っていた。見ている方も辛く、なんとももしてやれないもどかしさ。
ただ今朝、午前6時半に布団から一人で立ち上がり、岡山へ行くとハッキリ言った。
和ちゃん。オレにニコッと微笑みデイサービス・さっちゃん家へ。18日、デイサービス・和みのときの予定をさっちゃん家に変更してもらうことを三木さんから了解をもらう。和みの北の迫さんにも報告。ケアマネジャーの長谷川さんにはもちろん。21日ショートステイ保留していた岡山ひだまり里病院はキャンセル。

★4月14日
やはり、岡山ひだまり里病院のショートについての詳細を把握しておく必要ありと再考し電話を入れた。3階病棟担当者の渡辺さんから話しを聞く。夜間は60人を看護士と介護職員二人で見守っているものの、日中は5〜6人体制とのこと。転倒などが心配な利用者に対しては、職員の目の届く範囲の部屋に入ってもらうとのことだった。和ちゃん。もしかすると大丈夫かもしれない。改めて一度、訪ねる必要がありそうだ。
今朝、和ちゃんに問いかけた。
「ワシ、和ちゃんの子供で!」
「嬉しい!!」
手を叩いて泣きながら喜んだ。理解できているのか? できてないと確信するけれど、なんだか切なくも嬉しかった。
そして昨夜から、トイレまで誘導して尿採りパッドを替えるのを止めた。最近は、パッドへ出し切っているみたいだ。夜間は、排尿に対してもう少し許容量のあるパッドを使用するのがベストだ。

★4月15日
今朝、和ちゃんは普段通りデイサービス・和みのときへ。歯磨きをしてデイサービス出陣30分前、オシッコ誘導するも出ず。10分前に着替えを始めると臭う。シッカリ尿採りパッドへ出していた。イライラ。しかし我慢。肋骨骨折の件もあるけれど、和ちゃんが夜中、オシッコ自己申告しなくなりオレは以前より眠れるようになったから忍耐できるのかもしれない。和ちゃんは確実にレベル低下。パッドの中に出しっぱなし。だから起きない。幸か不幸か? 今のオレには。
北の迫さんから連絡あり。和ちゃんに水虫復活。夏物靴下を使用することと、水虫対抗薬を塗ることを勧められる。
で、今日の午前中、健生園に寄ってきた。生活相談員の中岡さんに案内され、和ちゃんが使用するこになるだろう部屋とベッドを見てきた。四人部屋。本来ならば、利用初回で不安のある人には職員が控える部屋から見える二人部屋を利用するとのこと。ただ、現在は体調を崩した利用者さんが使用していることもあり四人部屋で、ということだった。体調が戻れば、和ちゃんはその二人部屋へ。
正直、安心より不安が先行するに至る見学だったけれど、致し方ない。紙オムツと尿採りパッドは介護保険適用で持参する必要なしとのことでもあった。
現在時は午後1時35分。和ちゃんは今朝まで、またまた8日間の便秘? 今日は滴便をお願いしてある。ドカーンと出ていてくれると助かるのだけれど。
次から次ぎへ問題噴出で、肋骨骨折事件に対して落ち込んでいる余裕がない。

★4月16日
今朝は午前9時の時点で気温が15度。暑く感じる。
昨夜は和ちゃん。どうしたのか? 2度、夜中に起きだし“トイレへ行きたい行動”。そしてジョジョジョー。完璧。昨夜は久々に尿採りパッドを替えることがなかった。
で、昨日はデイサービス・和みのときで滴便をしてもらった。やはり和ちゃんは固まり、肛門が上手く開かなかったとのこと。手の平にのる程度には出たらしい。北の迫さんからは、
「ウンコが出んかったらウチでやるから野田さんはせんほうがええよ」
との電話連絡。素人のオレがやると肛門を傷つけること大ということで危険。緊急時のみ対応ということにしよう。

★4月17日
今朝8時、和ちゃんは400CCの排尿。午前3時半に120CC出して安心していたのだけれど、下半身に着ているモノ全てを交換。尿採りパッドの尿5回分OKというやつでも使用しないと安心感がなくなった。今日も頻繁に出しているからパッド交換に追われている。
昼前に散歩した。500メートルほど。最後はどうしても前のめりになり、パーキンソン病とよく似た動作になる。
一緒に遊んでやりたいのだけれど、言葉が通じない。側にいて見守るだけでやっとかな? とにかく、やらなければ、してあげないといけないことが多すぎる。

★4月18日
しかし暑くなってきた。和ちゃんに着せるモノについて悩む。靴下は完璧に夏物へ。水虫も良くなってきている。
オレはクシャミがク、ク、ク、クシャミが。花粉症か?
さてと。今夕は和ちゃんを西大寺病院へ連れていかないといけない。今、午後2時前。風呂上がりだ。

★4月20日
もう、書く気力がなくなった。
和ちゃんのクソとションベンまみれだ。

★4月21日
昨日朝、中国新聞へ一本。夕刻から、そして和ちゃんが寝て山陽新聞へ5本のコラムを送信。疲れ切っているところへの和ちゃんのウンチピチピチでオレはもう完璧に発狂モドキ。ウンコが肛門から顔を出しているのに和ちゃんは息まない。滴便に要した時間は2度で30分。
滴便してないときにもチビチビだからどうにもならない。まあ、かなりのウンコを掘りだしたけれど、オレは最後は人差し指をそのまま手袋なしで突っ込んだ。滴便のあとに夕食だったから、箸を口に運ぶ度に和ちゃんのウンコの香り。
こんな人生、よくやっていると思う。もっとも、和ちゃんだってオレに叩かれながらも踏ん張った。脚とか手を叩かないと、どうにもこうにも事が前進しないのだ。
オレは完璧に壊れていっている。いつか、オレ自身の治療で、精神科の門をくぐるときが必ず来るに違いない。ような気がしてならない。

★4月22日
現在時が22日午前9時5分。和ちゃんがデイサービス・和みのときへ出陣するまであと少し。和ちゃんはオレの隣で体育座りをして静かにしている。
今朝、オレはまだ怒っていない。一度も。スコブル珍しい。和ちゃんが深夜と今朝、オシッコを自己申告。朝食ではお茶をスンナリと飲み干してくれた。算数の5+5も(ジュウジュウ)と応え正解? 歯磨きでは、磨いたあとのグジュグジュが完璧。なんと素晴らしく爽やかな一日の始まり。
この一瞬時で終わりだろうけれど、怒らないで過ごせるというのは身体に良い。

★4月23日
昨日デイサービス・和みのときから帰宅し夕食後、和ちゃんは大量の排尿。パッドの当て方が不十分だったのか紙オムツも交換。これだけならいい。和ちゃんが交換時に足を上げない。何度言っても足を上げない。足を叩いたら、金玉を蹴られた。和ちゃんは金玉を蹴ったという意識はないのだろうが、猛烈に痛い。お返しに太股を蹴った。肋骨が折れていようが我慢できない。二人で唸っていた。

★4月24日
荻原浩の“明日の記憶”を読んだ。若年性アルツハイマーを題材にした超話題作。最後での主人公と妻の再会? の場面があまりにも切ないのだけれど、久々に、書きたい症候群が湧き出てきた。日記ではない。ルポルタージュ。
この本の中で、“生きることまで忘れてしまう”と主人公は悩むのだけれど、和ちゃんもウンコを息むことを忘れ、食べたいという欲求もほとんど無くしかけている。
で、アルツハイマーの一般的症状に“多幸表情”という、ウッスラ微笑んでいる状態が多いことを記していたが初耳だった。詳しく調べてみよう。ネットで検索しても詳細が分からない。
さて和ちゃん。今日も朝からオシッコをパッドに出し続けている。オレなんかもう、切ないことと出会うことは通り過ぎたような気がする。切ない、と感じなくなったのか? 諦めなのか? でも愛おしい気持ちは変わらないし、怒りのマグマは常にドロドロ沸騰だ。



バストベルト


★4月25日
今朝、和ちゃんの介護を開始以来、初めて拘束した。両手を手錠のように。切なく...そういえば昨日の日記には“切なさ”は卒業したかのように記したけれど、和ちゃんが両手を縛られてチョコンと正座している姿は忍びがたく切なかった。ただ、オレはゆっくりと排便をしたかったのだ。今朝、和ちゃんはウロウロと動きが激しかった。過去、何度か和ちゃんに排便を途中止めにさせられており、ウンコを肛門に挟んだままトイレから飛び出たこともあった。
たぶん、今日あたりでアルツハイマーを宣告された日から1000日になるはずだ。拘束は在宅介護の敗戦だろうか? もっとも、介護職に和ちゃんを拘束されたらキッチリ沸騰するオレの姿が想像できるけど。勝手なもんだ。
そうそう。深夜、和ちゃんの尿採りパッドを替えようと和ちゃんを目覚めさせ、両脇に手を差し込んで起こそうとした。和ちゃんがオレにぶら下がった。和ちゃんの体重は40キロに満たないが、オレの左背筋から脇腹にピシッ。骨も痛い。罰が当たったかな?

★4月26日
昨日、京都のミネルヴァ書房より連絡あり。中国新聞連載の“アルツハイマーの母のそばで”を核とした本を上梓することが決まった。厳しい状況下だけれど頑張って加筆部分を書こう。
和ちゃん。元気でデイサービス・さっちゃん家へ出陣。

★4月27日
先週の水曜日に滴便をしてから一週間が経過。そろそろチビチビとウンチ漏れが始まるころか? 疲れる。とはいえ、そこそこの調子でなんとかやっている。ここのところ、オレの怒りの回数もかなり減った。諦めからだとは思うけれど、どうせまた怒り出すことは明らか。いつまでも切りのない戦いだから。
今朝、オレは頑張って3本のコラムを書く。これで5本。なんとか連休中に依頼されている8本を書き終え、その後はミネルヴァの新刊に集中したい。和ちゃんとのことを多く書き残しておきたいから。
今、27日午後7時45分。和ちゃんは眠りに入った模様。オレは少し読書でもしよう。身体はだるいけれど、とてもこの時間からは眠れない。眠いんだけれど....

★4月28日
やはり身体はウソをつかなかった。



お見苦しいのですが

今朝、左胸から脇腹へかけて発疹があるのを発見。同じ部位に神経痛のような痛みが続いている。神経痛になったことはないけれど、こんなんだろう。ヘルペス?
岡山市民病院へ今日は降圧剤をもらいに行く日。ついでに皮膚科へ。帯状ヘルペスだった。入院して治療すると完治も早いらしいのだが、無理。しかし、バルトレックスという薬があまりに高価。今日は一万円出して、千円も帰ってこなかった。
そして今朝。滴便をするも出血。素人には難しい。でも、肛門の入り口にはカチカチウンコの存在。掘ってやりたいのだけれど抵抗も強い。
神経が弛緩している。

★4月29日
こんなのを書いてる場合ではないのだけれど、とりあえず。
赤い発疹が段々と水泡状になりつつある。痛みは一昨日と昨日よりは良い。ただ微熱あり。37.3度。和ちゃんの平熱? 介護される側より介護する側の飲む薬の量が多いのだから滑稽だ。
しかし、今日は暑い。側で扇風機が稼働し始めた。
キツイ!! シンドイ!! 痛い!! 和ちゃんが愛おしい!! 困った!!

★4月30日
今朝、デイサービスへ出る前の着替えをしているとき、和ちゃんは肛門からウンコをぶら下げていた。肛門が張り裂けそうになっている。トイレで滴便。あまりにカチカチなので掴んで抜くと、極太にもかかわらずスルッとヌルッと。これが2本。体積ということならスゴイ引き締まったウンコだ。まあ、今朝のは楽だった。
しかし、昨夜はオレが熱を出し、微熱だけど一晩中つづいた。シャツも4回替えた。和ちゃんも汗をかいていたから一度交換。疲れる。どうにもならない。
一人でシャツを交換し汗をタオルでふいているとき、スコブル虚しさに襲われた。
一人で背負うには重すぎシンドイ。でも、それでも和ちゃんが愛おしい。

★5月1日
やはり早い。もう5月だ。とはいえ暑い。今年の夏も酷暑になるような予想を聞いた。
今、午前10時少し前。和ちゃんはオレの側で寝ころんでいる。読めもしない朝刊を斜めから見たり逆から見たり。でも、見ながら時々笑っている。なにか感じるモノがあるのだろう。
昨夜、オレはかなり眠れた。一昨夜とは異なり熱も出ず、今朝6時の体温は35.4度。確かに身体は軽い。今、計測したら36.4度。
しかし滑稽。ヘルペスは痛みのある箇所を暖めるといいということで、オレはシャツに2枚のカイロを貼り付けている。痛みの緩和はあるような気もする。ただし、温かいを超えて暑い。
一昨夜、オレは考えた。もし、オレが入院ということにでもなれば和ちゃんは崩壊してしまうにちがいない。ヘルペスの一般的入院期間は2週間。回復不可能のダメージが和ちゃんを襲うに違いない、と。でも、そうなったとしても打つ手なし。
と考えていたところ、従姉妹の貴美子が、この家で点滴を打てばと助言してくれた。貴美子は看護婦だから知恵はある。2週間、なんとか頑張って朝夕通ってくれると言う。ありがたい。
まあ、薬でなんとかなりそうだけれど、明日、市民病院でキッチリ聞いてみよう。もう、痛みのピークは超えたみたいだし。だからといって、神経痛はする。反動が大きい。和ちゃんのお尻を一発ガツン。病人がアルツハイマーの母を看てるわけだからキツイ。なんせ、和ちゃんの飲む薬よりオレの飲む薬の量の方がはるかに多いのだら。
正直、オレが看病して欲しい。49歳の孤独なオトコ。哀しみ多きことばかりだ。
●●
これは昼飯を食べさせて書いている。なんかもう、介護することがアホらしくなってきているオレが見え隠れしているから。シンドイ。とにかく、和ちゃんの寝顔を見たら最後、そんなことは吹き飛んでしまうから恐い。アホらしくなっているのは記憶にはないけれど、介護し始めた頃からのような気もする。愛おしいことと恩返し。これが支えているのかもしれない。なんだか思考がコッパミジンだ。
7時20分に起床して3回の尿採りパッド交換。昼食の冷やしソバを食べさせるのも一苦労。和ちゃんの手はソバ汁でベトベト。これを書き終えると直ぐにトイレ誘導しようと考えているけど、和式トイレのオシッコ姿勢を素直にしないことが最近は多い。
ゴールデンウィークらしいなあ世間は。考えようでは、オレたちもこんな状況が続いているのだからゴールデンウィークかも? いつか和ちゃんが逝って、禊ぎの四国遍路を済ませたら、南米でも旅したいなあ!! 夢ぐらいはあっても罰は当たらないだろう。日曜日は一日がスコブル長い。
てなことを素直に書いているけれど、和ちゃんが逝ったらオレは本当に一人ボッチの天涯孤独だからなあ。雨がオレを弱きにさせているのか? ヘルペスか? オレ自身が弱いのか?
なんて書いていたら和ちゃんが立ち上がってウロウロ。オレはそのままパソコンに向かっていたのが失敗。和ちゃんの信号を見落とした。和ちゃんはオシッコに行こうとウロウロしていたのだ。シッカリ130CCの放出。まだ最後の放出から1時間も経過してないのに。

★5月2日
昨日夕方、和ちゃんは扇風機に5分ほど話しかけていた。当然、応えは返ってこないのだけれど、頷きながら微笑んでいる。無性に切なくなる時間だった。
さてと今日、市民病院へ貴美子の車で。ゴールデンウィークの隙間。混んでいた。予約してあったのでアッサリ5分で呼ばれたけれど、とりあえず在宅で治療すれば良しとのこと。助かった。
で、4日〜5日にかけてのショートステイはキャンセルした。健生園に不満があるというのでは全くない。オレの都合だ。和ちゃんを預けた夜、酒なしでは不安で眠れないと思ったから。ただ、薬の都合で酒が飲めない。で、キャンセル。他にも理由はあるけれど記すのがめんどくさい。だから、19日〜20日に交換してもらった。5日の夜、貴美子に泊まってもらうことにした。
このHPは、4月30日夜から再オープンした。

★5月3日
和ちゃんは今朝も元気にデイサービス・さっちゃん家へ出陣。さっちゃん家はゴールデンウィークがないから家族とすれば心底から助かる。お迎えの玉置さんのご主人は、お子さんを連れて山口県へ釣りにお出掛けと聞いた。本来なら家族一緒にお出掛けしたいところなのだろうけれど...介護職というのは大変だ。と書いたけど、デイサービスのほとんどは休みに突入しているはずだ。デイサービス・和みのときもカレンダー通りだし。ただ、和みのときは大晦日まで迎えてくれる。
さてと。上半身の左側半分がかなり痛む。まだまだ痛みは続くことになっている。発疹もそろそろ、グチュグチュと潰れていきそうな気配。サラシを巻かないといけないとも聞いた。やっかいだ。
一昨日だったかな? 和ちゃんに、
「ろくでもねえ息子ですまんのお?」
と語りかけた。息子とは承知していないからそこは無視。でも、
「あんたはホンマに可愛いよ」
微笑みながらオレの頭を和ちゃんがなぜた。少しまえ、なんで罵倒したかは失念したけれど、和ちゃんにクソミソ言いたい放題に言い散らしたのに。
またまたオレの目から涙。オレは小さい声で、
「おかあちゃん」
と和ちゃんに囁いた。

★5月4日
ケアマネジャーの善し悪しを判断するのはなかなか難しい。と思う。訪問調査やサービス利用表を作成するのは当然として、今、この利用者がどんな状況下にあるのか、利用者の言動・姿勢で判断するという技量を持ち合わせているかも、良し悪しを利用者が判断する基準にもなるだろう。更には根性と忍耐。
和ちゃんを担当するケアマネジャーは長谷川さんという。このHPは実名出しが基本にあるから実名。で、少し以前、長谷川さんから夕刻に電話が入った。オレからすれば呑気に聞こえた。オレは和ちゃんをトイレ内で滴便の途中。医療用手袋を填めているとはいえクソまみれ。手以外にも付着して汗もかなり出ていた。
「今、それどころじゃねんだよ」
オレは興奮しているとベランメイ調になる。
そしてオモイッキリ受話器をガチャン。脳裏で悪いとは思いながらもそれどころではない。そして2分もしないうちに、長谷川さんからもう一度電話。何を言っていたか知らないけれどガチャン。
和ちゃんの滴便を終え、オレは長谷川さんに電話を入れた。もう帰宅していた。なんで電話を入れたかというと、オレのSOS状態に気づけ、と抗議の電話を入れたわけ。とはいえ、長谷川さんはオレたちの担当から外れたいだろうな、とも考えた。逆の立場だったらオレはキッチリと切れる。
ところが、長谷川さんは数日後に改めて電話を入れてきた。5月の予定についてだ。そして、オレたちの様子についてこのHPを覗いていたとのこと。しかし、アップはされていなかったから把握できない。
だけど、オレがここで一番強調したいのは、長谷川さんはオレたちを放棄しないで踏ん張ってくれている。ありがたい。そして思った。この若き女性は根性と責任感を十二分に持ち合わせているな、と。
これからも和ちゃんを見続けて欲しい。真摯にそう思う。更には、いつまでも今のように“和ちゃん”と呼び続けて欲しい。和ちゃんも、そう願っているに違いない。長谷川さんとはもうじき3年の付き合いになる。和ちゃんの最初で最後のケアマネジャーであり続けて欲しい。素敵なケアマネジャーと出会えたことに感謝したい。


5月3日夕刻
滅茶苦茶な日々だけど、まだまだこんな微笑みは日常だ


★5月5日


ヘルペス対抗4種類の薬


ヘルペスがかなり痛む。まだまだ当分は痛みが継続しそうだ。痛みの山は越えたと思っていたのに。ホンマに痛い!!
昨日、従姉妹の貴美子と話して、やはり今夜はオレ一人で和ちゃんを見守ることにした。というのも、3日〜4日にかけての夜、和ちゃんは4回のオシッコ。これがなかなか大変で、万年床の布団に足を取られて転げそうになったりオムツ交換に抵抗したりする。だから、一度キッチリと昼間でも和ちゃんに付き添ってもらい、和ちゃんを少し把握してからということにした。オレから頼んで申し訳ないのだけれど、我が家はバリアフリー一切なしだから貴美子も対応に苦慮するはずだ。
それを話したら、問題はないという応えだったけれど、まずは少しづつ進むことにした。彼女のバックアップには感謝するばかりだ。
ところで、ヘルペスの薬でバルトレックスというのが高価すぎると以前に書いた。薬局で単価を聞いたところ、1日3回2錠づつ一週間分で約7778円。これが3割負担だから、保険証がないと約26000円の薬。一週間でこの薬のお役目は終了だから助かるけれど、やはり病気になると出費がバカにならない。入院を勧められたのだから尚更だ。
肉体的にも精神的にも経済的にも、行き当たりバッタリというところかな? 本来、自由業にゴールデンウィークなど関係ないけれど、10日間も和ちゃんから離れたらリフレッシュできるだろうけれど、気力の源である緊張の糸もプッツンだろうしな。難しい!!

★5月6日
現在時は5日の午後7時45分。和ちゃんは先ほど万年床へ。最近の眠りは深い様子だけれど今夜はどうだろうか? 尿採りパッドを替えたばかりだけれど、まだまだ出るなキット。
しかし、仙台で50歳代の息子が80歳代の実母を絞殺した事件はやはり他人事ではない。二人暮らし。年齢もほぼ同様。息子は無職。オレもさほど変わらない。介護疲れということらしいけれど、オレも首を絞めたり肋骨を骨折させたり、一つ間違っていればお縄を頂戴することになっていたはずだ。
オレのところにはいろんなメールが飛び込む。可愛いのは、現役ヘルパーさんがご主人の転勤での悩み。これは酔っぱらいメールだった。でも、可愛く愉快なHPを立ち上げている。
自分自身の葛藤。誰にも言わず墓場まで持って行こうとしていたのだけれど、HP立ち上げでスコーンと憂さ晴らしを始めた女性。
更には、自身は癌でありながらも、愛していない痴呆のご主人の介護を続けている女性等々から。文字通り、人生いろいろなメールが着信する。ゴールデンウィーク、それどころでない人たちも多いのだ。
ところで今日、昼食を貴美子とモスバーガーで食べた。こんなことを書いていると、和ちゃんが突然、拍手をし始めた。嬉しそうだ。まだ眠くないのかもしれない。暑いのかな? 聞いてみると、そうではないらしい。寝ぼけているのだ。
で、モスバーガー。西大寺という田舎へ出店はありがたいけれど、失礼だけれど本当に詳細なマーケティングリサーチしたのだろうか? 少し値段が張るような気がした。モスバーガーがまだ屋台のような頃の新宿店で食べたときはスコブル美味かった。鮮明に覚えている。順子と食べたことを。青春の一コマだった。

★5月7日
まずは訂正。
過去に“滴便”と記し続けてきたのは“摘便”の誤りでした。最初は“敵便”と記したこともあり、ある人から“摘便”との指摘を受け、それ以降そのように記してきたつもりなのですが“滴便”となっておりました。デイサービス・和みのときの北の迫さんから電話で指導していただき誠にありがとうございました。“いらん世話するな”などとは決して思っておりませんので、今後も間違いありましたらご指導ください。
さて、これを書いているのはまだ6日。今日、市民病院へヘルペスを看てもらうため出向く。発疹はこのまま枯れるだろうとの診断。ホッ!! 貴美子から頂戴した手作り腹帯が無駄になりそうだけれど、良し。
今日覚えた語彙は“陰洗”。北の迫さんからの言葉では、
「陰部洗浄の略で、陰洗と言ってます。食器洗い洗剤容器に微温湯をいれて洋式トイレに座ってもらって洗います」
和ちゃんは今日、風呂に入らなかったので陰洗だけをしてもらってきた。

★5月8日
現在時は7日の午後7時5分前。和ちゃんから眠いとの自己申告があり早々に布団の中へ。もう眠っていると思う。昨夜はあまり眠っていなかったから。デイサービス・さっちゃん家でも昼寝をしたと連絡帳にあった。
和ちゃんの右手拳側には痣ができている。オレが叩いてできたものだ。昨夜は尿採りパッド交換が多かったこともありオレもあまり眠れなかった。全くということではないけれど、夜中に4回〜5回も交換させられるとキツイ。もっと吸収力のあるやつを使用すればとのご指摘もあるが、和ちゃんが起きだすのだ眠りの浅い夜は。となると吸収力云々はあまり意味をなさない。そりゃあ、300CCも尻に下げていたら気持ち悪いだろう。
で、交換している時、和ちゃんが紙オムツを手で押さえたりする。交換が簡単ではない。それが何度も続くのでパチン。いや、バチン。ガツンではない。けれど青痣になっている。


オレの両腕も和ちゃんの抵抗でひっかき傷が多数。こんな夜が多い。これを虐待と捉えられるなら致し方ない。
さて、デイサービス・さっちゃん家から帰宅時、三木さんと少し話した。和ちゃんが拳大のウンコを放出したとのことで。やはり驚いていた。和ちゃんの肛門の伸び縮みはスコブル自在。本当に太いウンコをだす。でも、三木さんはシッカリ喜んでいてくれた。ありがたいことだ。
明日は日曜日。また、長い一日になる。



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