11月14日〜12月9日
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★11月14日
▼「〜白球・球春〜夢100年」

11月15日(土)午後4時00分放送
今年創部100周年を迎えた岡山東商業高校野球部。戦前戦後を通じて岡山県高校野球界のリーダーとして、また日本の高校野球界の発展にも大きく貢献してきました。 甲子園出場は、春夏合わせて18回。そのうち優勝1回、ベスト4は2回。国体優勝1回と、輝かしい歴史を誇ります。
番組では、岡山東商野球部の球譜100年を映像と野球部関係者の証言で振り返り、古豪東商野球部の足跡を紹介する。

★11月15日
現在時は14日の午後7時22分。和ちゃんは布団に潜った。しかし、ヒンヤリ寒くなってきたなあ。
さて、和ちゃんがデイサービス・和みのときから帰宅し連絡帳を確認すると、年末年始の利用アンケートというのが目に入った。元日から4日までは休日と決まってはいるのだけれど、年末の29日〜31日と、新年5日〜7日をどうしましょうか? という問い合わせ。
実は、和みのときがある場所は、高松稲荷といって岡山県で最も初詣客が多い稲荷神社の近くで、この時期は道路状況が極めて渋滞・混雑しており、送迎時間の目安が計れないらしい。ということで、利用者への問い合わせになったらしいのだけれど、オレは29日〜31日は必ずオープンするよう懇願した。
デイサービス・ゆう倶楽部長浜はキッチリと29日から新年の4日まで休日。というわけで、アンケートを見て直ぐに5日と6日はゆう倶楽部長浜に予約を入れておいた。
言い方は良くないが、下手をすると一週間、和ちゃんを丸抱えすることになる。これはキツイ。できることなら和みのときに踏ん張ってもらい、オレは元日から4日までをなんとか持ちこたえるという方向で進んでくれるとありがたい。もちろん、4日間丸抱えとなると艱難辛苦。やや大袈裟か?
とはいえオレ。野田明宏のデイサービス・和みのときへの期待度は高まるばかりだ。そりゃあ、職員の皆さんにも家族があり、正月だもんな。ただ、そこは無理を承知。これ、北の迫さんと料治さん、読んでるかな?
ホンマたのんます。

★11月16日

「ウワー!! ホントじゃー。あんたじゃがー」
オレがテレビの画面に映った瞬間、和ちゃんは手を叩いて喜んだ。わずか2分程しか映らなかったけど、和ちゃんはとてもいい表情をしてくれた。
オレは和ちゃんに事前に伝えておいた。というのも、オレはオレ自身がテレビに映るということより、オレを観て和ちゃんがどんな反応をするかに興味があった。そして、手を叩いて喜んでくれた。オレはどんな編集のされかたをし、何を語ったのだろう? 和ちゃんばかりに目がいって、オレを観ている余裕がなかった。
とはいえ、良い一日だった。
さてと。ウーン。日記がちょっとストレス。明日と明後日はキーボードから離れよう。

★11月16日特別編
17日と18日は日記を書かない。けれど、今、16日の午後3時23分。まあ、和ちゃんが一人で遊んでいるのでキーボードを叩いてる。
で、ここで書きたいのは介護虐待についてだ。老人介護の場合、頻繁に、アンケートを採った結果・・・パーセントの割合で虐待の実態が報告されました云々と新聞紙上に活字が踊る。????とオレは思う。オレなんかオヤジにも虐待したし、和ちゃんにも虐待した。和ちゃんに対しては、いつ、また叩いてしまうか判らない。ただ、そういう日は必ず来るはずだ。介護度にもよるが、痴呆介護を在宅でやっている場合、限りなく100パーセント近くはなんらかの虐待行為を介護者は行っているのではないか? とオレは想像する。
でもね。虐待ばかりをしているわけではない。在宅で痴呆の親・妻・夫を介護しようとしている人間は、オレはなかなかのモノだと思う。オレ自身はその範疇から外してくれていいけれど、彼女・彼等は基本的に優しい人たちだとオレは確信するからだ。
ただ、痴呆の人が常識外れの事をして叱っても、教育的指導になりえないから悲しくも切なく、そんな事は皆、十二分に把握している。でも、怒鳴ってしまい手を上げてしまう。だけど、親・妻・夫に側にいて欲しいのだ。オレだって和ちゃんの笑顔が見られなくなったら天涯孤独。それこそ、なんでもありでこれからの人生突っ走ってやろうと思う。和ちゃんのお陰で、オレなんかも世間と折り合いがつけられているのかもしれない。過去のオレの人生はハチャメチャだったから。
考えてみれば、日記なんていうのは他人に見せたり公にするものではない。オレだって、そこそこ自重して書いている。まあ結局、自己顕示欲の強い者が、こんなWEB日記などを披露するのだろうけど、オレは正直、介護WEB日記を公開している人たちの素顔を知りたい。そして、公開するなら、虐待されている要介護者までも。そうでないと、あくまでも他人事。ハンドルネームの世界でしかありえないからだ。
なんか過激な文面になっているけれど、オレのHPだから遠慮はいらない。他人を名指しで誹謗中傷しているわけでもないし。もっとも、オレはオレ自身を明らかにしているわけだから、誹謗中傷したときのしっぺ返しは充分に覚悟して書く。
ウーム。久々に日本酒3合を飲むと、言いたい事が言えたなあ。というより、やっとオレらしくなれたって感じ。とりあえずアップするかな?

★11月19日
日記を二日間書かないでいると、書きたくなるからオレの深層心理も複雑なようだ。まあ、ポリシーが足りないのかもしれないけど。
17日・18日と和ちゃんは元気にデイサービスに出陣した。17日の夜は疲れたのか、夜というよりデイサービスから帰宅して直ぐの5時頃からウトウトし始めたので、早々に食事を済まさせ眠りに入らせた。しかし、和ちゃんはホンマにホンマ、シビレル程よく眠る。オレにはありがたいことだけど、時々、こんなに眠って大丈夫かいな? と疑問に思ったりする。もっとも、アルツハイマーを宣告された1年4ヶ月前には、午前2時頃からガチャガチャと周辺にあるモノを散乱させていたのだけど。とにかく、当時より生活習慣はスコブル改善した。
で、年末。デイサービス・和みのときはオープンする方向にあるらしい。アンケートの結果、利用者家族からの要求が高かったのだと北の迫さんより説明を受けた。ヤレヤレだ。
とはいえ、年末年始に向かって痴呆老人を抱えた家では様々な光景が展開されてるはずだ。オレは数年前、12月31日から1月1日にかけてある特別養護老人ホームに取材に入り込んだことがある。もちろん施設側の了解を得て。
正月だから、ショートステイに入れられた痴呆老人。正月だから、子供たちに手を繋がれて我が家に帰宅して行った痴呆老人。理由は一様ではなかったけれど、喜びと哀しみと切なさが同居した取材だった。
オレだって元日からの四日間、厳しいことは覚悟してるもんなあ。テレビで、あまり幸せそうな光景を見ないよう心掛けよう。

★11月20日
また変則日記になっている。明日、オレ自身のインフルエンザ予防接種を予定しており、書けるときに書くということで今PCに向かっている。現在時、19日午後0時40分。
今日、和ちゃんと買い物に出、和ちゃんはオレンジ色の上着を羽織って出陣。なかなか似合っている。そして、さっそうと歩く。
もし和ちゃんがアルツハイマーでなかったら、こんな色のモノは着ないだろう。オレが着なさい、というものはだいたい喜んで着る。和ちゃんの場合、おカネを盗られたという妄想はなく、元来、おカネを一銭も持っていないという妄想だから、この辺りは作戦を練りやすい。
今度、ユニクロにでも寄ってみよう。

★11月21日


昨日、インフルエンザ予防接種をしてきた。消費税込みで5250円。我が家にとっては少なくない出費だけれど、オレがインフルエンザで寝込んでしまうと和ちゃんをショートにあずけなければならなくなる。こういうときにショートがあるというのは感謝だけれど、突然、ショートで引き受けてくれるとも考えにくい。確かに、一度はどこかのショートを見学に行く必要があるようだ。
ただなあ、インフルエンザの予防接種も絶対ではないし、常に予防を心掛けていなければならない。本当に、オレ一人の身体でなくなっている。
とはいえ、イライラする毎日。欲求不満の日々。
だけど、和ちゃんの写真を観ていると優しい気持ちになれるオレがいて、オレの人生は和ちゃん最優先と自覚させられる。和ちゃんの存在はオレにとってスコブル大きい。今は、ほぼ独占されているけれど。


★11月22日
PCがご機嫌斜めだ。いろいろ詰め込み過ぎたのか? それともヤフーBBとデオデオのサーバーを二刀流で使用してるせいか? だいたい、MacOS8.6なんていうのは化石に近いらしいからな。まだ、3年も使用してないというのに。いつパンクするか? 困ったもんだ。
さてと、オレは昨日、久々に街中を闊歩し数人と会ってきた。10キロは歩いている。以前は10キロなんて日常だったのに、昨日は疲れた。疲れると、和ちゃんにも八つ当たりしてしまう。トンチンカンな事を言われると、
「学校(デイサービス)から帰ってこんでもええのに」
などとほざいてしまう。罰当たりで、本当に嫌な人間だオレは。こんなことは百も千も万も承知の助だけれど...
オレは、もし今度生まれ変われるなら、輪廻転生だったっけな? オレは優しい人間に生まれ変わりたいな。そして嫉妬ととか僻んだりしない人間に。ウソのようだけど、オレの尊敬する人はマザー・テレサ。なんか疲れてるなあこの文章の流れは。
で、昨日から炬燵をだした。いよいよ冬本番の様相だから。
今日と明日。和ちゃんと仲良くできますように。
オット!! 昨日、デイサービス・和みのときの北の迫さんより直接知らされたのだけれど、年末の29・30・31日は従来通りオープンと決定とのこと。良かった良かった。

★11月23日
なんかなあ!? オレ自身が混乱してるなあ。
まあ、素直に記すと、オレは今日、今日といっても現在時は22日の午後4時だけど、オレは他人前で初めて和ちゃんを叩いた。叩いたといっても軽く手をパチンとやっただけだけど、パチンとやった光景を見ていた若者はオレを鬼のように思っただろうと想像する。
実は我が家の裏、隣人が改修工事をやっていて、我が家の出入り口にもネコ車などが置いてある。ネコ車にはいろいろなモノを載せ搬送するわけで、直接に手を触れると正直かなり汚い。買い物を済ませ帰宅した時、和ちゃんはそれを珍しそうに触った。汚いと理解出来ないのだけど、汚いから、
「なんしょんなら?」
と両手の平を叩いた。それを、工事している若者に見られてしまった。
オレは悪いことをしたとは思っていない。しかし、他人の目を気にしているオレが嫌だ。
もっとも、和ちゃん自身にはダメージはないみたいだけど。今、テレビを観ながらケラケラ笑っているから。
そういえば今日(22日)、買い物へ少し遠回りをして和ちゃんと西大寺図書館に寄った。和ちゃんの足腰にカフを掛ける目的と、オレの本の貸し出し状況を確認するために。
“背番号13青春録”。岡山市図書館内に置いてある中央・幸町・西大寺では貸し出し中。7月後半から確認しているけど、常に貸し出し中。ウームと考える。買ってくれればいいのに、と。

★11月24日
今日(23日)、和ちゃんと買い物に出、プラッツでコーヒーを飲んでいるとき、和ちゃんは目を赤くしながら悩んでいる様子。プラッツまでは仲良しで到着したのだけれど、突然、記憶が復活したらしい? オレが出発前に服の着替えで叱った・怒ったことが原因だとは判っていたけれど、オレは和ちゃんに聞いた。
「和ちゃん、どしたんなら? 泣きょんか?」
「わたしゃなあ、どんなに怒られてもあんたと一緒にいたいんじゃあホンマ」
オレまで目頭が熱くなってきて、テーブルを挟んで握手をする。すると、やっと和ちゃんはコーヒーを飲みだしニコニコし始めた。これでないと和ちゃんは。
しかし、これだけ寒暖の差があると大変。和ちゃんは二日間連続で寝汗をかいていた。夜中に着替えさせるのが正直、めんどくさい。風邪を引かれては困る、というのがオレの頭にあって厚着させすぎているのだけれど、あまりにも我が家は快適な暮らしから縁遠いからなあ! しゃあないか?
今現在、テレビではNHKのど自慢をやっている。和ちゃんのケラケラと元気に笑う声も響いている。まあ、11月23日の午後はこれで良しとしよう。

★11月25日
昨日、山陽新聞岡山県版を開くと、“岡山東商高野球部創部100周年記念祝賀会”の記事が掲載されていた。読むと、OBなど約130人が集まりなかなか賑々しく開催された様子。
野球部OBの中では阪神タイガースの八木。元大洋ホエールズのエースで200勝投手の平松さん。悪役紹介の八名信夫さんなども出席しておりトークショーまであったとか。俳優の美木良介はオレの二級下だけど来ていなかったのかな?
 行き着けのcafeグロスでこの記事を読みながら、オレはウームと新たに自分自身に言い聞かせた。
「出席したかったのおホンマにホンマ!! せえでもワシの最優先は和ちゃんじゃ。和ちゃんには随分と世話になった。人生の思い出を世界中に作らせてくれた。今は辛抱・忍耐じゃがなホンマにホンマ!!」
ちょっと格好良すぎるか?
でもなあ、出席者の仲にはオレ同様またはそれ以上に厳しい境遇の先輩・後輩もいただろうし、まあ、オレなんかと同様であれば嫁さんに任してるだろうけど、なんかここからは言葉がないなあ。
もっとも、今は今で、厳しいけれど、良い思い出をイッパイ和ちゃんは授けてくれている。和ちゃんの笑顔。失いたくない。

★11月26日
一昨日の“岡山東商高野球部創部100周年記念祝賀会”の会場にオレが書いた“背番号13青春録”を置いてもらっていた。100冊。まあ、40冊売れればラッキー。20冊で納得。と考えていたのだけれど80冊のお求めがあったとOB会副会長から電話があった。残りもこれから売り尽くすという力強いお言葉。ありがたいことです。
もっとも、“売り上げの半分はOB会に寄付させてもらいます”という条件はあったけれど、先輩・後輩というのはやはりありがたい。確かに、年代は異なっても同じグランドで血の出るような汗を流した仲だもんね。今までOB会費も納めておらず、OBらしいことは一切してなかったオレだから、やっとOB気分を満喫もしておりヤレヤレだ。
で、オレは真摯に思う。やはり介護漬けは良くない。こういう他の世界との接点を持っていないと介護介護介護介護介護∞で行き詰まってしまう。
オレ自身の素直な感想を述べさせてもらえば、和ちゃんがデイサービスに行っている間は介護とは無縁な位置にいたい。“介護者の会”“呆け老人をかかえる会”等々、様々な介護者同士・同志の集まりがあるけれど、今、オレは参加する意志は全くない。正直、介護から解放された時間は恋愛でもしているのがベストだろう。まあ、オレのように47歳で不出来な顔のオッツァンが言うのもなんだけど、恋するとトキメク。するとエネルギーが体内から満ち溢れるのですね。すると、全てに優しくなれる。これはオレの場合だけかな?
 そんなことはないでしょう!?

★11月27日
和ちゃんが外出する時、だいたいは帽子を被って行く。この時期になっても、プラッツに買い物に出るときは日除けの意味で当然着用する。
で、昨日。というよりプラッツ内の喫茶店に入ったときには必ず質問してくる事柄がある。和ちゃんの帽子には“のだかずこ”とマジック書きの汚い字が記されてあるのだけれど、これに毎度、疑問を感じるのだ。
「ここになんか書いてあるけど、これ、どういうこと?」
「“のだかずこ”ゆうて、あんたの名前を書いとんじゃねえか」
「ふーーん!? の・だ・か・ず・こ....か? 私の名前じゃなあ」
和ちゃんは自分の名前は覚えている(時々は言えない)。ただし、ひらがなでも自分の名前が読めなくなることが最近多い。とはいえ、もうオレは学習能力についてのリハビリは一切しない。ここまできたら、そんなことはどうでもいいと思う。
しかし考えてみれば、毎度々々に同様な質問をしてくるということは、ある意味で瞬間々々を全力投球しているようにも思えてしかたない。
だからオレも全力投球で返答したいのだけど、正直、
「ツェ!! 毎度々々ええ加減にしてくれえホンマ」
ということで、和ちゃんは不満を抱えて帰宅することになるのです。だけどだけど、帰宅するまでにそんな不満自体を忘れてしまっているのだけれどネッ。

PS
以下はある新聞.comからの盗裁だけれど、これって、とんでもオフザケだよなあ。もう、デイサービスなんて利用できなくなるし、事業者も利用者が激減するんじゃないの? シビレルなあ!!

本人負担割合2〜3割引き上げ提言へ 介護保険で財政審

財政制度等審議会(財務相の諮問機関)は25日、介護保険制度について、介護サービスにかかる費用の本人負担を現在の1割から2〜3割まで引き上げるよう提言する方針を固めた。医療費の本人負担割合が3割になっており、今後、社会保障関係費が増大する中で、介護保険の本人負担も引き上げる必要があると判断した。
財政審は26日に提言する04年度予算の編成等に関する建議に盛り込む。介護保険制度の見直しは05年度以降に実施する見通しで、財務省は来年の見直し論議で本人負担の引き上げを求めていく。
介護給付費は02年度は約5兆円だが、高齢化の進展で10年度には約8兆円、25年度には約20兆円に膨らむとされている。財政審はこのままでは国の財政を圧迫するとして、本人負担の引き上げのほか、施設での居住費や食費にかかる費用の保険の適用の見直し、介護報酬の引き下げなどを求める。


★11月28日
今日の日中は雨とのこと。この秋から冬にかけてよく降る。
さて和ちゃん。昨夜の眠りは凄かった。デイサービスから帰宅して夕食をし、午後6時半には眠りに突入してしまった。オレは読書をしたりしながらその後を過ごし眠りについたのだけれど、小便に午前3時半に起きた。
ところが和ちゃんは爆睡状態。オレが気付かなかったのだから9時間眠りっぱなし。オレは和ちゃんを強制的に起こした。オシッコでもされていたらたまらないと思って。しかし、オシッコの放出はなく、
「和ちゃん。オシッコ行っとけよ」
「ハイ」
こういう時は素直でとってもヨロシイ。
今朝も和ちゃんは元気。今、歯磨きをしている。そして、デイサービス・和みのときへ出陣だ。といっても、出陣まで少し時間があるから、これから和ちゃんとジャレよう。

★11月29日
現在時は28日の午後6時26分。数分前から和ちゃんは、眠たいからと床に就いた。またシッカリと爆睡するのだろう。確かにデイサービス・和みのとき、そしてデイサービス・ゆう倶楽部長浜からの連絡では、和ちゃんはデイサービスでかなり気を使っていると聞く。
昼食後にお盆を拭いたり、あまり話をしない利用者に声掛けしたりと、とてもアルツハイマー病でデイサービスに通っているとは思えない行動もしているらしい。もっとも、過去の凛としたときの和ちゃんを知っているオレからすれば、そんな行動をしていると聞いても不思議ではない。和ちゃんは、道徳と倫理観のある女性だったから。
気を使う。
良いことだと思う。まあ、気兼ねしながら時間を過ごしているのだろうけど、ただ遊んでいればいいというものでもないはずだ。優しくされ、チヤホヤされてばっかりでも痴呆の停滞には悪影響かもしれない。本当のところオレにも判らないけど。
明日・明後日(29・30日)と和ちゃんはデイサービスが休日。和ちゃんの休日はオレにとって試練の日でもある。なんせ、辛抱と忍耐と我慢と優しさが必要なのだから。オレに求められても足りないモノばかりだ。
しかし、オレ自身も変化したような気がする。優しい心の持ち主と会話していると、オレもこころ穏やかになれる。そんな人が結構いるんだな。和ちゃんをサポートしてくれる人たちに、そんな優しい心根の人が多い。ある意味で、介護という仕事をサービス業と割り切って位置づけることに困惑している人たちで、オレはそんな人たちが大好きだ。困惑しているということは、悩んでいるという前向きな姿勢だから。
悩む人は、より良い介護を常に模索していることをオレは過去の取材で学んでいるのです。

★11月30日
昨日は長閑に過ごせた。
一日中、小雨模様の一日だったけれど、なんとか隙間をぬってプラッツへ買い物に出かけた。本当は家で待っていて欲しいのだけど、和ちゃんが一緒に行きたいと言うので連れて行った。和ちゃんは一時間程度なら一人暮らし? も可能だから、オレもこんな天候下では一人で出た方が楽。傘を手にして転ばれたりでもしたら、たまったもんではない。
もっとも、出かけていた間は雨も降っておらず、和ちゃんは傘を肩に、♪トットコトットコ♪と兵隊さんの歌を口ずさんで闊歩。オレは、和ちゃんを工場の塀の前に立たせ敬礼をさせる。
「敬礼」
と声を上げ、和ちゃんは元気良く敬礼をした。敬礼の意味は理解しているようだ。久々に長靴を履いて傘を手に、少しウキウキ気分が感じられた和ちゃんでした。

★12月1日
いよいよ師走かああああー!! てなもんだ。確認はしていないけど、去年も同様の出だしで書き始めているのではないだろうか? 正直、オレの青春時は寂しく孤独なクリスマスだったから、今でもこの時期は好きではない。クリスマスソングのBGMに仲良しのカップルなんかがテレビに映し出されたら猛烈に嫉妬していた若者だったから。現在に至っても、その後遺症は継続している。もっとも、和ちゃんと一緒だからそれどころではないのだけれどね。
老婆心ですが、性的発端からのHIV感染も拡大しているらしいし、そこそこ自重して欲しいもんですなあ。
寂しいから、誰でもいいから誰かとベッドを共にするというのは寂しい。まあ、オレもオッツァンになったから言えるのだけれど、オレだってヤケクソの青春だったから、後々苦労した。交際していた女性からオレにもHIV感染疑惑をかけられ、保健所に足を向けたこともあった。陰性。あったり前田のクラッカーと言いたいところだけど、オレは50カ国を旅し、中米に2年滞在してハチャメチャだったから厳しい状況下にはあった。
でもなあ、あくまでもオレが知る限りだけど、商社マンなんていうのは世界中に種をまき放題だったもんね。
話が本題から外れた。これもクリスマスのせいだ。だからといって、マザー・テレサを崇拝していることに違いはない。
さて、昨日の朝、オレは小爆発した。オレがPCに向かっていると、和ちゃんがトイレに行った。なかなか出てこない。ウンコをしているのだ。けれど、長すぎる。覗いてみると、和ちゃんが便器周辺をトイレットペーパーで拭いている。
我が家のトイレは、トイレというニュアンスではなく便所。未だに汲み取り方式だから、和ちゃんのウンコを確認しようにも下に落下してしまう。で、和ちゃんは便器にウンコを付着させて拭いていたのだけれど、オレがするから手を洗うように指示した。
便器をキレイにして和ちゃんの手荒いを確認する。アレッ?? タオルの一部が黄土色になっている。顔を近づけると香る。ウンコだ。和ちゃんの手にオレの鼻を持って行く。ウンコの臭い。和ちゃんが便器を拭いているときに自分の手に付着させていたのだ。上下のジャージもなにやら臭う。
「アホウ!! ウンコしたらケツの穴だけ拭きゃあえんじゃ。あとはワシがやるがな。オメーがやったら二度手間・三度手間なんじゃ。服も全部脱げクソアホウ!!」
というわけで爆発。そしてオレは洗濯をした。最近の悪天候で乾いてない洗濯物がイッパイあるのでイライラする。乾燥機はあるのだけど、どういうわけか稼働させるとブレーカーが落ちる。困ったもんだ。
なんか変な日記になったかな?
その後、和ちゃんと買い物に出た。この時間になると仲良しに戻っているのだけれど、和ちゃんが言った。
「あんた知らんかもしれんけど、私がおる部屋汚いんよ。掃除してくれんから私がしたいんじゃけど、させてくれんのよなああの人(和ちゃんにしか分からない。オレでもないらしい?)が。どうしたらええと思う?」
参った。オレも部屋で空気を吸うと、ゴミが喉に引っかかる時がある。しかし、掃除するのがめんどくさいのだ。
オレが聞きたい。
どうしたらいいのでしょう?

★12月2日
昨日、オレはある女性と会った。対面は約30年ぶりか?
「野田君。いい感じの中年になったね」
 自分でも不思議だけど、えらく嬉しかった。オレが勝手に誉め言葉と捉えただけかもしれないけど?
和ちゃんも良い老け方だと思う。不幸にしてアルツハイマーという病には冒されたけど、すごく可愛い。
まあ、ケンカしながらノンビリ行こう。

★12月3日
昨日、高校野球部同輩でスポーツトレーナー事務所(マッサージなどが主な仕事)を岡山市内で開業した友人を訪ねた。プロ野球の中日ドラゴンズでもトレーナーをし、ユースだったかな? 日本代表サッカーチームに同伴しアルゼンチンまで行ったりもしている。事務所にはアルゼンチンサッカー界の神様マラドーナとのツーショット写真がデコラレており、高校時代のヤツからは想像もできずビックリ仰天。ヤツにしてもオレが本などを書いていることが信じられなかったらしい。お互い、アホだったから。
で、この年齢になると病気の話も盛んに飛び出す。誰々は医者から、糖尿病とコレステロール値が高いから食事療法を勧められている。誰々は肝臓疾患で酒をやめた等々。50歳を前に、オレの周囲はオレを含め病気持ちが多い。
しかし、15歳から17歳の頃の話が弾む。遠慮もいらない。高校野球部時代の友人は宝だ。
で、和ちゃん。変わりなし。オレはこの人のために自己管理をしっかりしないといけない。だけどだけど、和ちゃんと真摯に向きあうと血圧が急上昇するのが肌感覚で自覚できるもんなあ。
生きる、ということは難しい......ですね。

★12月4日
オレにはある企画があった。
“痴呆患者の視点から捉えた小説を書いたら画期的だな”
と。画期的だけど、アルツハイマー患者たちが固有名詞を発せられないことは理解しているけど、言葉にはならなくても脳裏ではイメージできてるのだろうか? いろいろ検証(和ちゃんをモルモットに仕立て)したり勉強する必要もあるなと熟慮しながら日々を過ごしていた。
ところが、“痴呆病棟”(江川晴著)はまさにその視点で捉えた小説であり、オレは先を越されたことに少々ショックを受けていた。読んだ。
ホッ!! とした。オレが思うに、あくまでもオレが思うにだけれど、この本の展開にはいささか無理がある。一人称で物語りは進むのだけれど、主人公は痴呆といっても初期前半の痴呆症状。無理があると記したのは、この段階では家族も困るほどの痴呆ではなく、痴呆の家族を抱えて生活している人たちの切迫感は表現できていない。評論を書くつもりなど毛頭ないけれど、この本に共感は覚えなかった。ただ、江川さんはとっても良い本をたくさん書いていて、オレも過去に10冊近くは読んおり、おおいに勉強させてもらっている。
この企画。練りに練れば、面白いモノになると思う。だから、キッチリ日記を記し、和ちゃんを書かなければならない。
「どうしてこの人(オレ)は、私を怒るんだろう?」
などと疑問に感じていることも多いはずだから。和ちゃんの不安・悩み・喜び等を書いてみたい。
と思って、昨日もプラッツの喫茶店でインタビューしたのだけれど、この方法にも無理があるみたいだ。ここの話をしているのに、地球の裏側からほどの距離を感じる回答らしき言葉が返って来る。
家族が途方に暮れているほどの痴呆患者の視点で書くというのは無理なのだろうか? オレに力量が無いとは思いたくないけれど?

★12月5日
和ちゃんのアルツハイマー度は、少しづつだけれど確実に悪化していることを実感させられる。
昨日の朝、朝食を済ませ降圧剤の薬を口に含ませて、コップに入っているお茶を飲むように言うと、隣にあった手鏡を2度舐めた。
早朝からオレは怒鳴り声を響かせた。隣近所にも聞こえているだろう。そして反省。
オレと和ちゃんの、楽しい時間をイッパイ作っておかないと。時間制限があるようだから。
悲しいけれど。

★12月6日
特別、和ちゃんのことでここに記すことはない。一つ一つあげればトンチンカンは切りがないし。
とにかく、今朝もウンコを捻り出し、今、ニコニコと炬燵の上を整理整頓? している。
これでいい。今日はシッカリかまってやろう。
さてさて、プラッツから和ちゃんと帰宅して改めて記している。今、和ちゃんはNHKのてるてる家族を観ながらゲラゲラ。調子はいい。で、プラッツからの帰路、和ちゃんが懇願するように言った。
「今日帰らんと、一緒に寝てんな」
毎日一緒に寝てるのだけれど。
「一緒に寝るで」
和ちゃんの顔が喜びに満ちた。爆裂笑顔をゲット。

★12月7日
今朝は冷えないものの風が強い。明日朝の予報気温を確認すると3度。風邪には注意しないといけない。
しかしなあ、とやはり不満が湧き出てくる。とりあえず今日は日曜日。今、和ちゃんの食事を済ませたり歯磨きをさせたりで午前7時54分。降圧剤を飲ませるのを忘れてはいけない。和ちゃんが服用しているのはこれだけだから。
で、正直、キッチリとした日曜日が欲しい。日曜日は休日だったはずなのに。和ちゃんには、曜日の仕切がないからなあ。一日中、ゴロリンと寝て過ごしたい。年金問題でとやかく言われている専業主婦というのも、結構シビアな仕事だなあと真摯に納得したりもする。
2時間後には買い物に出ている。風が少しはおさまってくれるとありがたいのだけれど。
今、トイレから和ちゃんの掛け声が聞こえた。
「ヨッコラショっと」
また、新しい一日が始まった。怒らない怒らない。

★12月8日
いやあ!! とっても寒いわーーー。
昨日、和ちゃんはオレに怒られて2度泣いた。そして怒った表情もみせ、仲良しになって握手して破顔の笑顔。感情的には忙しい一日だったに違いない。
しかし、昨日の買い物では、コープ経由でプラッツという約4キロを歩んだことになる。足腰はシッカリしている。でも、また歯の一本が抜けそうだ。前歯。これが抜けると、今使用している入れ歯が填らなくなる。
新入れ歯購入資金などありまへんでホンマ。

★12月9日
なにやらとーーても今日は寒かった。現在時は8日の午後9時少し前。
で、和ちゃんはデイサービス・和みのときから帰宅し5時頃にはウトウトし始めた。マズイ!? と思い即効で夕食にすることにし、食べ終え、歯磨きを済ませて少し経った6時前に再度ウトウトし始めたので電気を消し和ちゃんを眠りに就かせることにした。オレも炬燵で横になったら眠ってしまい、8時前に小便でトイレに行って、横山秀夫の小説を読み出したら眠気が吹っ飛び、完読し終えて今PCに向かっている。
少し時間が経過したけれど、時刻はまだ9時過ぎ。和ちゃんは深ーーーーーい眠りで、時折、小さな鼾が聞こえてくる。この寝顔を見てしまうと、全てが許せてしまうからオレの在宅介護は長くなりそうだ。
しかし、世間では忘年会花盛りなんだろうに。かといって、誘われて出ていっても、和ちゃんのことを思うとオレの良心が痛むに違いないし。この葛藤は毎日のものだけど、いつまで経ってもジレンマのままで終息がない。
計算・予測できない人生。もっとも、人生なんてそんなものかもしれないけれど、オレは介護用語でいう拘束されている側なのかもしれない。事実、時間とかは完璧に拘束されているのだけれど、こころ、までも。