04 1月1日〜1月20日
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★2004 1月1日 元旦
このHPに寄っていただいてる皆さん、
新年あけましておめでとうございます。本年もなんとか踏ん張って書き続けようと考えておりますので、お暇な時に立ち寄ってくだされば幸いです。
さてと、和ちゃんは今朝も元気イッパイ。オレも良く眠れたのでそこそこの調子。まあ、本当は今日ぐらい、ゆっくりと昼頃に起き出したいところだったけれど、和ちゃんの血圧の薬もある。
もっとも、和ちゃんにとっては正月とかというのではなく単なる4日間の冬休みということで、オレは和ちゃんのリズムを壊したくなかったというのが正直なところ。
しかし、今日は一歩も外に出ることはないな。昨日、デイサービス・和みのときから和ちゃんが帰宅して、オレは和ちゃんとプラッツまで買いだしに出、今日の食料はあるのだから。
「和ちゃん。買い物に行くで」
「ホンマ!! 行こう行こう」
あまりに嬉しそうな表情をするので、愛おしくてたまらなくなった。
で、今朝メール確認すると、何件か飲み会の誘いが来ていた。正月は友人たちが帰岡する。高校時代、同じ屋根の下で2年半を一緒に下宿生活した完治からも。完治とは是非飲みたいのだけれどアウト。今朝早々にアウトの返信を打った。オレだけしか和ちゃんを見守れない二人だけの家族。
宿命。
まあ、完治とは昼にでも会おう。
陽が射してきた。日の出を和ちゃんと観ようとも考えていたけど、その時間は霧か靄がかかっていて観ることができなかった。
とはいえ正月が始まった。4日間、和ちゃんと一緒。
踏ん張ろう!! 踏ん張ろう!! 踏ん張ろう!!

★1月2日
昨日の第1ラウンドは、特別なまでに踏ん張る必要性もなく長閑に過ぎていった。
キャッチボールをし、洗濯物をたたんでもらい、ビニール袋もたたんでもらった。ビニール袋はたたんであるのをバラシテお願いしたり、オレも作戦を考える。家の中の階段を上がったり下がったり。片足立ち20秒とかも何度かチャレンジ。もちろん、壁に手をやり支えている。
しかし、和ちゃんの腕力は大したもんだ。腕相撲もしたけど、オレが少し力まないと負けるほどの腕力が維持されている。脳の力もこれくらい維持しといてくれれば.....。無理なことを願ってしまうオレがいる。和ちゃんを介護するということに覚悟ができていない証拠だ。
“覚悟できていない証拠”ということで記すことがある。これは告白なのかもしれない。
一昨年の9月1日。オレの日記には“人間失格”と記している。なぜ人間失格なのかについては触れていない。書けなかったのだ。で、オレは“在宅介護支援センター物語”などという本を書いているせいもあるのか、介護職の友人(初対面の人もいる)などからアルツハイマー在宅介護の最前線を聞きたいとの声が掛かる。そして決まって、
「野田さんってスゴイ親孝行なんですね。それに介護も頑張ってらっしゃる.....云々」
違うのだ。オレは一昨年9月1日。
和ちゃんの首を絞めた。
かなり強い力で絞めたと思う。記憶にはないけれど、痣が残っていたのは覚えているから。もちろん、痴呆度は今よりかなり良かった。感情面では今の方が良いけれど、学習能力は今とは比較にならなかった。
それでも絞めた。
魔がさした。と言ってしまえばそれまでだけれど、突然、将来に不安を覚えたような気がする。“将来を悲観して”というのが一番の理由か? 詳細・深層心理はオレ自身、今でも判らない。
ただ、オレは痴呆病棟とか痴呆介護者を多く取材してきて、オレの人生に大きな壁が立ちはだかった事だけは理解した。先を考え過ぎたのかもしれない。
まあ、こんなことがあったのだ。間違っていればオレは殺人者。殺人未遂の実行者。和ちゃんも災難だった。人災か?
オレは、オレ以外に介護者が被介護者の首を絞めた男性を二人知っている。一人は、救急車が到着した時点では限りなく死に近かったらしい。いろいろ調べてみたけれど、男性介護者が被介護者を殺すケースが結構多い。
とりあえず、誤解があるとオレも困るので、この場で告白しておいた。
オレは、優しい人間でも親孝行な人間でもない。
さてと、和ちゃんと遊ぼうか。暗い告白になったけれど、和ちゃんを愛おしいという気持ちは本当だ。それもスコブル愛おしい。
和ちゃんがオレを見て笑った。こんなオレと一緒に過ごすのが一番嬉しいのだそうだ。

★1月3日
和ちゃんは歩いた。トットコトットコ、オレと一緒に歩いた。
昨日、まずはプラッツに買い物に出た。買い物をしている途中、飲みに行こうと誘ってくれた完治から携帯に着信。11時半には西大寺に来られると言う。完治はオレの家を知らない。で、JR西大寺駅で落ち合うことにした。完治が立ち寄ったのは、山陽放送で放映された岡山東商野球部100年史 DVDをオレから受け取るために。
つまり、和ちゃんはプラッツまでを往復し、15分の休息後、再びJR西大寺駅までを往復したわけで、1時間半そこいらで4キロと少しの距離を歩いたことになる。アルツハイマーを宣告されて以降では、最も充実した歩行距離ということになると思う。プラッツから帰宅した時点で背中には汗ビッショリ。
完治と和ちゃんの再会は約30年ぶりだった。和ちゃんは、オレと完治が高校時代に同じ下宿だったので完治とは親しいのだけれど、やはり和ちゃんに完治をメモリーしておく脳力はなかった。
とはいえ、なんだかんだでラウンド2も穏やかに過ぎ去った。和ちゃんの調子がいいのもあるし、オレもなんだかあまりイライラしない。和ちゃんの四日間の冬休みも、今日を含めてあと二日間。踏ん張る、という言葉を使用するほどのことも無さそうな予感もしてきた。前半の二日間は和ちゃんとイッパイ笑ったし。
今日も明日も、一緒にイッパイ笑えればと心底から思う。和ちゃんが凛としていた頃、オレはお袋と一緒に大笑いなどしたことなどほとんど無かったのだから。
母子の距離間という点だけから考えれば、オレと和ちゃんにとってはオレが生を受けて以降、変則ではあるけれど一番濃密な時空間を生きているのかもしれない。

★1月4日
昨日の第3ラウンド。予想したとおり、オレは怒鳴り声をあげることもなく穏やかに過ごすことができた。プラッツへ買い物に行き、テレビを観、洗濯物を一緒に干したりして時間は経過していった。
ところで、和ちゃんは1日〜今日4日までの四日間、風呂には入らない。入らない、というよりはオレが入れない。年末までしっかり入浴しているし、5日からはまたキッチリとデイサービスで入浴するわけだから入浴なし四日間など問題ないと考えたからだ。オレもめんどくさいし、実は我が家の暖房環境を考えると湯冷めして風邪を引かれるのが最も恐かったからだ。
とはいえ昨日、下着交換した時に、身体の清拭とオシッコの吹き出し付近はキレイにしておいた。和ちゃん。パカッと、なんのためらいもなくオープン。アルツハイマーでなかったらこうはいかない。ちょっと開脚しすぎたのか?
「イテー!」
の悲鳴。二人して大笑いした。
今日。冬休みラストラウンドも穏やかでありますように。

★1月5日
現在時、4日の午後8時33分。和ちゃんは8時頃より眠りに入り始め、今は爆睡中。
なんとかラウンド4も切り抜けて、この四日間をつつがなく過ごすことができた。心配していたほどの疲れがオレにはなく、年末に恐れていたことは杞憂であったと過去形にしてしまっても、もう大丈夫だろう。
この四日間の採点。オレ自身に対しての自己評価だけど、90点はもらえるのではないかな? “踏ん張った”“頑張った”という表現を使用するほどのことはなかったのだけど、和ちゃんのトンチンカンを許せるオレが少しづつ芽生え始めているのかもしれない???
いや違うな。この四日間だけに関しては、イライラしないと覚悟を決めていたのだから。そりゃあ、少しは小噴火したけれどね。
とにもかくにも、和ちゃんと楽しく過ごせたことは大収穫だった。和ちゃんの体調もいいし、今朝は今年初めてになるウンコの放出。目出度しめでたし。
さてと、ヤフーのトップページにインフルエンザで6歳児死亡のニュース。インフルエンザ脳症とのこと。和ちゃんは予防接種を受けているけど、これからが本格的シーズン。注意を怠らないように心掛けねばならない。
時間は飛んで現在時5日の午前8時39分。約10分前にデイサービス・ゆう倶楽部長浜の鹿村さんがお迎えに到着。新年の挨拶を交わし、和ちゃんは鼻水を垂らしながら元気に今年初めての出陣。
オレは年末から計算して、約110時間ぶりに一人になれた。まずはヤレヤレ。そして、和ちゃんファイト!!

★1月6日
この日記。もう当たり前になってしまったけれど、6日の前日5日の午後3時20分に記している。
いやあ!! 久々に人混みに出てきた。解放感。不謹慎かもしれないけれど、どうしても重荷から解放された気分になってしまう。和ちゃんは、デイサービスで自分の居場所を探しながら、気を使いながら頑張っているのに。でも、オレも踏ん張るし、和ちゃんも頑張る。二人三脚で進まないと、在宅介護が崩壊することは明白。
しかしです。介護保険は困ったもんですなあ。要支援・要介護1は介護保険(在宅)の範疇から外そうという企てがあるとか。利用者の1割負担も2割を超えて3割という声が主流とか。これは、貧乏人は介護保険を使用できないということでしょう。そうなったら介護保険料も支払い拒否でいいんじゃないの? ちょっと、知人である介護保険を専門としている大学の先生にでも聞いてみるかな?
で、帰宅してみるとポストに年賀状が。まだまだ来るのですね。オレは全く・一切書かないというのに。でも、メールとか手紙で返信はするけれど。
コムスンのUさんからも。彼女は中国地方コムスンの統括をやっていた人で、と記してしまうと誰だか分かる人には分かってしまうから臼倉さん。臼倉さんからもきていて、直ぐにメールを飛ばしておいたのだけれど、驚いたことに、今ではコムスンのグループホーム構築の次長の地位にあるとのこと。一度、ある経済誌に取材して掲載したことが縁なのだけれど、コムスンの中核にはとっても興味がある。
オレはヤッパ、老人介護ライターでいたいなあ。

★1月7日
“生きてる”っていうのはやはり興味深い。
というのも昨日、オレは自称・素浪人と称する36歳の男性に会ってきた。もちろん初対面。年始早々に彼はオレにメールをくれ、かなり力の入った企画書もメール内に記されてあった。オレと一緒に本を出版したいと言う。
そして昨日、昼食をしながら彼の話を聞いていたのだけれど、彼も介護経験者で、孫の立場で祖母を介護していたと言う。彼のお母さんを含め、祖母の娘は3人いるというのに。聞いていて、世の中様々であることを再認識。
とはいえオレにとって、彼は海のモノとも山のモノとも判断がつかない。これはハッキリ彼にも伝えた。そして、この日記を今日も読んでいるはずだ。
で、改めてここに約束という意味で記すのだけれど、この日記を本という形にしたいのでしたら、自由にフリーハンドで進めてもらって構いません。誰も迷惑する御仁は存在しませんから。とにかく、ファイトしてください。ご自身のために。更には私と母のことです。協力は惜しみません。
というわけで、未知との遭遇的な楽しい2時間だった。
さてと和ちゃん。昨日朝、デイサービス出陣前。トイレから出てこない。ウンコだろうなあ、と思いおもい待っていたのだけれど、10分近く経過しても出てこない。オレは心配になり覗くと、これからパンツを上げようとするところ。しかし、オレの目は付着物を確認。肛門辺りにウンコがキッチリかなり付着している。
「和ちゃん、ストップ。パンツ上げたらいけんで。そのまま」
和ちゃんはパンツを半上げ状態の姿勢で待機。オレはトイレットペーパーと洗浄綿で肛門周辺をフキフキし、仕上げに泡状のクリームでもう一度拭いた。OK!!
しかしなあ? と思う。和ちゃんの足腰は結構強靭だ。あのウンチングスタイルを10分前後維持できるのだから。
「和ちゃん。今のウンコ、大きかった?」
「スゴカッタなあ!! せえでもホンマ、脚が痛いは」
和ちゃん。ウンコはちゃんとできるんだけど、フキフキに問題が生じてきている。まあ、ちゃんとした所にちゃんと落としてくれれば良し。

★1月8日
今朝も長閑な一日の始まりの様相だった。
しかし、プラッツから帰宅したとき、和ちゃんがオレの手を離して玄関前で転げそうになった。玄関のガラスドアに頭をぶつけそうになる。オレは慌てて手を掴み、引っ張り戻す。
「アホウ!! なんでワシの言うたように行動できんのなら? このクソババア」
一度噴火すると、和ちゃんのやることなすこと全てに腹が立ってくる。イライライライラ。人生の・不条理・不公平を恨んでしまう。そして結局、和ちゃんは泣いてしまう。その泣き方にも参る。エーンエーンと子供が泣くように泣く。つい可笑しくなり笑ってしまうのだけれど...なんかなあ!?
ところで今日(1月7日)、ケアマネジャーの長谷川さんが訪ねてきた。介護保険更新で調査に来たのだ。で、長谷川さんと話していて思い出したのだけれど、和ちゃんが大人らしい振る舞いをするときがあった。
和ちゃんの誕生会(デイサービス・和みのとき)の時、北の迫さんの一番下の子も来ていた。智ちゃんという6歳の子。オレは智ちゃんと仲良しになり遊んでいて、活発な上に面白い子なので、
「親の顔が見てみてえなあ?」
と周囲に聞こえるように大声。すると和ちゃん。オレに向かって一言。
「そんなこと、言わんのよ」
と、たしなめるように言った。
和ちゃんは、オレが息子ではなくても一番の近親者であるということを理解しているのだ。と、そう思いたいオレがいる。

★1月9日
今朝(8日)は荒れた。
和ちゃん、連日ウンコが出てくれるのはありがたいのだけれど、トイレットペーパーで上手く肛門をフキフキしてくれない。というか、今朝は肛門周辺に付着物はなかった。ただ、拭いたペーパーにウンコが付いているわけだけど、このウンコを確認しながらペーパーを折っている。折るのはいい。ウンコが付いている方を内側にしてくれれば。だけど和ちゃんは、その反対もあったりして、外側に折ると手に付着する。今朝はそれだった。
この行動を、オレは看過できるときとできないときがある。気分しだいのようなところがあるのだけれど、今朝は爆発。この手でアチコチ触られると難儀するのだ。後始末は全て、オレの役割分担なのだから。この役割を生きがいにでもできれば一件落着だけど、そうは問屋が下ろさない。
「アホウ!! そんな手でアチコチ触りょったら家中クソまみれじゃがな。アホウはアホウなりに考え。アルツハイマーでも努力はできるんでホンマ!」
ホンマではないな。和ちゃん。デイサービス出陣10分前まで泣いていた。
アーーーーア。今、午後3時20分だけど、和ちゃんの元気なお帰りをこの目で確認しないと、オレの湯鬱は晴れない。
しかし今日は寒い!! 和ちゃんがもう少し、暑い・寒いの表現を的確・明確にしてくれると助かるのだけれど。

PS
和ちゃんは元気イッパイで帰宅。ヤレヤレですわホンマにホンマ!!

★1月10日
しかし速い。
正月とか言ってたばかりなのに新年も早々9日だ。
???
10日の日記を9日の午後、和ちゃんが不在の時に書いている。もう、日記とは判定してもらえないかもしれないけれど、心穏やかに記そうとするとこんな形になってしまう。正しい日記のように、その日の終わりに書こうとすれば、それはもうストレス。
正しくは無理。書けるときに書いているからこそ、オレの場合は日々更新できる。WEB日記などというのは、日々更新・なるべく日々更新が最優先なのではないのかな?
 といこともあって、この日記も24万文字を軽くを超えた。24万文字といえば400字原稿用紙に隙間無く文字を詰め込んで600枚。これからもコツコツ不定時で書いていこうと思う。
で、今朝の岡山は冷えた。今シーズン一番の冷え込みとかで、最低気温−0.3度。午前8時でも0度。今が7度少し。オレはコンセントやらPC配線の都合で炬燵へも入れず、暖房器具とは無縁の状態でPCに文字を打ち込んでいる。こりゃスコブル侘びしい。
とはいえ和ちゃん。元気イッパイ。今朝も炬燵しかない部屋で、白い息を吐きながらもウロウロ。ああでもないこうでもない、とブツブツ。学校(デイサービス)に持参するモノがあるとのこと。毎朝大変なことだ。
そしてお迎えの車に乗って、デイサービス・和みのときへ本年の初陣を果たした。
そういえば昨夜、というより昨夕の6時半からオレは和ちゃんにつられて寝込んでしまった。最近、良く眠れる。和ちゃんはといえば毎晩平均、10時間前後眠る強者だ。
さてと、今日は日射しがあるので洗濯物がよく乾いた。和ちゃんのデカパンもホンワカ仕上げでGOOD!!

★1月11日

ウヒャー!! 鏡に映った和ちゃんがオバケになってしまったなあ。仕方ないか?
 ところで、今朝(10日)もプラッツに和ちゃんと行ってきた。トットコトットコ歩いてくれる。連れ出してもオレに余裕があるのは、家から外に出ると和ちゃんはオシッコの回数が著しく減少する。デイサービスの日などでも、一回。多くても二回で、
「家でもこんなですか?」
と、通っている二つのデイサービスから質問された経験がある。
家では違う。頻繁という頻度なのか判断しにくいのだけれど、かなり通う。デイサービス出陣前など10分間隔。出そうな気がするらしい。確かに出てるけど。寝てしまうと、8時間眠りっぱなしということもあり、オレが恐くなりわざわざ起こしてトイレに行ってもらう。この時のオシッコの音はスゴイ。
♪♪ジョジョジョジョジョーーーーー♪♪
オモイッキリ勢いがある。前立腺肥大の男性群には羨ましい限りだろう。
さてと、オレと和ちゃんの間ではプラッツで買い物したあとに儀式がある。必ず、オレがオシッコへとトイレに行くのだけど、和ちゃんはオレが友達に会いに行くと思っている。オレの友達がプラッツのトイレに住み着いていると信じているのだけど? その間だけ、和ちゃんはプラッツ内で一人切りになる。
「これ(買ったモノ)、見張りしといてくれえよ。ちょっと行ってくらあ!」
「今日もおられるん? 気の毒になあ!!」
和ちゃんは、まだ敬語を忘れていない。そして、オレの友達を思いやる。和ちゃんの脳裏には一体、オレの友達のどんな姿が想像されているのだろう?

★1月12日
和ちゃんには毎朝、学校(デイサービス)に行くか行かないかを知らせないと、行く心掛けをしているようで、なにやらソワソワ状態。今朝(11日)は学校へ行かない事を知らせた。すると、
「昨日の晩に教えてくれたが、あんた」
正解。それはそうなのだけど、本当に記憶があってオレに言っているようではないはずだけど?
で、今、オレの側を横切ってトイレに行こうとした様子?
「オシッコか?」
「今は、それ、あの? 水が出るということではないんよ」
身振り手振りで説明してくれる。こんな会話が多くなった。
そして、今日はプラッツではなくコープへ出かけた。プラッツには和ちゃんが好きな肉うどんがなく(肉うどんはあるけれどメーカー違い)、そういう理由でコープへ。
プラッツでもコープでも往復路、いろいろ話をするのだけれど、今日は久々に算数にチャレンジしてみた。なんと、100−1=99。オオッ!! 100+1=110。この回答も、まるっきしトンチンカンでもない。学習能力にも異変か? そんなわけはない。8+3=??? OK!!
しっかり笑って、しっかり歩ければ問題なし。

★1月13日
1月12日、午前9時20分。Macのアダプターの都合で、やはり炬燵から抜け出てPCに向かっている。Macのアダプターはもう、アウトにしたのが二つ。今のも危ないので気配りしてなるべく移動しないように使用している。以前のは一度、コンセントに入れた瞬間、バチバチと火花が散ったこともあった。
ところで、今朝一番でメール確認するとTomy氏から。しかし本当に、介護職をしながらお母さんの在宅介護もやっていることに頭が下がる。ただ、頑張りすぎなよう、老婆心からしたためておいた。
さてと、朝から明日アップの日記を記しているのもなんだけど、書ける時間に書き終えておきたいとうのが念頭にあって、こんな次第です。和ちゃんも張り切ってデイサービスに向かってくれたし。オレは今日、ゆっくりゴロゴロしていたいのですね。だからといって、買い物もしなければならないし、掃除? これは嫌いだからしない。
塵・埃。悪環境に免疫のあるオレだけど、目に余る。でも、完璧を求めない。グアッハッハ!!
で、昨晩から加湿器を投入。乾燥注意報があまり発令されなかった岡山だけれど、昨日〜今日にかけて発令中。これからも注意報が多く出るとの気象台の予報を認知したので加湿器の出番となった。
それから、今朝の歯磨きのときのことだけれど、言葉も同様な言葉を使用しないと和ちゃんは混乱する。入れ歯を磨くためにオレは、
「和ちゃん。歯を出せ」
「歯はないよ」
これではダメなのだ。
「和ちゃん。アーーン」
すると口を開けてくれる。“応用”という言葉は、和ちゃんの辞書にはない。

★1月14日
やはり昨日(13日に書いてるから12日。オレも日付を間違いそうになる)、HPの日記をアップしたあとに掃除した。といっても目に入る範囲だけ。実は、Yahoo! BBのモデムも埃に覆われていたから、黒いモデムが白っぽくなっていた。オレは構わないのだけれど、和ちゃんに影響する。風邪で咳き込んでいるのか、塵が喉に入って咳き込んでいるのか判断つかないと困るから。そりゃあ、オレ自身も汚すぎというのは理解しているのだけれど...めんどくさい。
ところで和ちゃん。デイサービス・ゆう倶楽部長浜へと元気に出発したのだけれど、送迎の車に乗車してから口に手をやり息を吹きかけている。口臭を気にしているのだ。
出陣前、オレと少しトラブッテ、オレが暴言を放ったからだ。
「臭えのおホンマ!! その口の臭い、なんとかせえ。嫌われるで!!」
ああ、ホンマにホンマ自己嫌悪。デイサービスでも気にしてるだろうか? 勝手なもので、こんな時は記憶を無くして欲しいと願う。
和ちゃんの歯茎から口臭が出てると思う。かなり腐蝕しているようだから。といっても、キスでもしない限り、鼻を曲げるほどの口臭ではない。ただ、いくら入れ歯を磨いたりしても消えない。和ちゃんの歯磨きのやり方にも問題ありだけど、基本的にはオレが悪いのだ。
オレの弱さから、和ちゃんに気まずい一日の始まりをさせてしまった。
そしてそして、時間は経過して午後9時ジャスト。和ちゃんは爆睡中。和ちゃんの眠っている隣の部屋で、オレは膝に毛布を当ててPCに向かっている。今、室内温度は4度ぐらいじゃないの。この部屋は、トイレへの通過地点なのでここにもファンヒーターを置くのがオレは恐い。とにかく、和ちゃんのトンチンカン行動からの火事が恐いのだ。外は猛烈な風。
さてと、改めて仕切なおして書いているのは、和ちゃんが元気イッパイで帰宅してくれたからだ。送りの車を出迎えたとき、オレを見ての微笑み。今の彼女の辞書には、“恨み辛み”などという言葉も記されてないようだ。凛としていた時の彼女なら、オレを睨み付けていたと想像する。根はスコブル優しいのに、どこかプライドの高い女性でもあったように思う。でも、今は保育園児同様。
もし神が存在するのなら、オレたち母子にイタズラが過ぎるのではないですか?

★1月15日
14日、水曜日は和ちゃん休日。今日は一緒にコープへ。コープから帰宅早々、和ちゃんが口をモゴモゴさせている。変だ??
「口開けてみい、和ちゃん」
舌を出した。そこに乗っかっているのはイチゴジャム。朝食で食べたパンがイチゴジャム入りだったから、食べこぼしていたのを見つけて口に入れたのだろう。キッチリと言い聞かせておかないといけない。こういう事は、言い過ぎるほどにでも。
「アホウ!! そんなもん食べたら死ぬで。オメーが死ぬなあ構わんけど、腹が痛うて七転八倒するで。せえに、今、葬式やこう出しょったら、皆寒うて迷惑じゃがな。落ちとるモノは食べない。分かったか?」
返事がない。理解できないのだろう。それに、どこに落ちていたかを聞いても、聞く度に場所が異なる。怒鳴り声を上げっぱなしで疲れた。しかし、今朝は極太ウンコ放出で、気分爽快だとか言ってたなあ。もちろん、“気分爽快”とか“極太ウンコ”などという語彙が和ちゃんの口から出ることなどない。雰囲気がそうなのだ。
さてと、今朝メールを開くと、現役高校野球部員から。昨日、“背番号13青春録”を読んだ彼のお母さんから最初にメールを頂いており、返信したら息子である彼から着信していた。
過去に何度か甲子園出場経験がある高校でやっており、そこの野球部員もほとんどが読んでくれたらしい? まあ、図書館で借りて、回し読みというやつだけど、現役野球部員からメールが届いたのは初めてで、なんだかとっても嬉しく、直ぐに返信を出しておいた。
介護・介護の日々の中、こういうメール・出会いは嬉しい。
今更ながら、高校野球をやっていてよかった。

★1月16日
岡山市民病院でオレが服用する降圧剤を受け取って(正しくは処方箋を市民病院でもらい薬局で薬を受け取る)、行き着けの喫茶店グロスで茶して図書館で本を借りて、なんてやってたら時間は過ぎる過ぎる。
速攻で赤穂線に乗り帰宅モード。で、赤穂線車中で、今日は特記することもないから日記は省くか? と考えたりもしてたら、和ちゃんの幸せについて哲学し始めた。
“幸せ”
こんな語彙を使用するのは、そして口にするのは気色悪いし照れくさいと思っていた若かった頃。でも、今は自然に出てしまう。年齢というやつか?
和ちゃんが凛としていた頃、といってもオヤジが亡くなって以降、オレと和ちゃんは同じ屋根の下に暮らしながらほとんど会話することはなかった。思考・生き方が極端に異なり、会話してもぶつかりあう事ばかりだったからだ。
例えば、和ちゃんは吉相とかにこだわる。貧乏なのに、印鑑は吉相とかの象牙。オレのもあって、認め印、銀行印、実印とある。宗教にも凝る方で、一時は新興宗教的な所に梯子で所属していた。オレはそういうのが全て大嫌い。会話になるわけがない。オヤジが死に、オレが相手にしない。笑っているところを我が家で目にすることはほとんどなかった。孤独だったと思う。
ところが、今は違う。デイサービスで多くの人と交流し、家に帰れば、四六時中オレと一緒。怒られたり泣いたり。だけど、笑いも絶えない。誰かがいつも側にいる。和ちゃんは今、孤独を感じることはないに違いないと確信する。
確かに、アルツハイマー病を患ったことは不幸だ。けれど、孤独もシビレルほど辛い。高齢であれば尚更だろう。
和ちゃんに幸・不幸を問うのはナンセンスなような気がする。
今、オレに怒鳴られながらでも孤独ではない。
とりあえず、これが大きなポイントのような気がしてならない。

★1月17日
明日17日の早朝には、岡山市内でも雪がチラチラとかで、ウッスラ積雪の可能性もあるとか? そういう状況下だと道路も凍結しているかもしれないし? ということでコープに寄り、和ちゃんの好物である肉うどんを買っておいた。明日は、昼過ぎからの買い物になるかもしれない。
で、コープ内である女性に遭遇。オレはホームヘルパー2級の資格を持っているのだけれど、この資格を取得するためベネッセに通っているとき、彼女はオレと同じグループに所属していた。
立ち話をしながら、お父さんが入院中ということを聞かされたのだけど、彼女は6人兄弟(4人姉妹)で、兄弟6人で役割分担を決めて介護しているとのこと。スゴイ。当たり前のようだけど、なかなか出来ることではない。オレもせめて、もう一人兄弟がいてくれたらと心底から思うけど、姉か妹だったら和ちゃんを押しつけてしまっているに違いないし。この問題は奥が深すぎる。
そういえば、今朝はスコブル生活リズムが良く、オレは怒鳴り声一つ上げず和ちゃんをデイサービス・和みのときに送り出した。
「そうじゃなかろうがアホウ!! ズボンが前後ろじゃがな。せえに、なんで靴下まで脱いでしまうんなら? アホウ? 手袋は足じゃのうて手に入れえ。アアアアー。気が狂う!!」
普段、こんな朝の出だしが多い。すると、和ちゃんの脳回路が混線状態からノーマルに変換することがある。
「あんたなあ、そんな大声で叫びょったらお隣にまる聞こえよ」
このままを言う。オレは益々雄叫びを上げたくなる。そして、
「なんでアルツハイマーに説教されんといけんのなら? このクソババア」
シンドイ。暖簾に腕押し状態。
しかし、今朝は何事もなく送り出せ、自己嫌悪と葛藤することなく今に至っている。
とはいえ、洗濯物が乾かないのは難儀だ。和ちゃんのデカパン。さらには厚手のズボン下等々が所狭しとぶら下がっている。

★1月18日
チラチラと、瞬時だったけど雪が舞った。
17日。そんな午前中、和ちゃんとプラッツに行ってきた。買い物を済ませ、喫茶店でコーヒーを飲む。フーフーとコーヒーに息を吹きかけて和ちゃんにカップを渡す。砂糖は多め。
「おいしいなあ!!」
微笑み。和ちゃんの表情と言葉は一致する。アルツハイマー病の人はウソをつかない。ウソと混乱・妄想は異なる。
飲みながら、オレは和ちゃんに質問。
「和ちゃん。今朝はウンコ出たんか?」
オレの認識では出してないはず。
「出たよ。お姉さんが『よろしいよ』言うてくれたから飛んで出てきたけど」
「トイレにオンナの人がおるんか?」
「時々じゃけど、おられるよ。あんた知らんの?」
笑わせてくれる。お姉さんがいるのなら、オレの方が心底から会いたい。
帰宅して着替えをしたとき、和ちゃんのデカパンの股部分を確認。ウンコは付着してない。もっとも和ちゃん。調子のいい時は“紙いらず”と称される切れのいいウンコを放つから出しているかもしれない? そして、それはオレが熟睡しているときに落下させたとのこと。和ちゃんは90パーセントの割合でトイレに直行できるから、事実そうなのかもしれないけど?
さてと。プラッツから帰宅してメール確認するとTomy氏から。文字通りに孤軍奮闘の様子。老人介護現場の厳しさ・矛盾がシビアに伝わってくる文面だった。
和ちゃんは今、NHK・てるてる家族のお祖母ちゃんが亡くなる場面を観ながら泣いている。

★1月19日
天気晴朗。風もなく穏やかな18日の昼前。今朝はかなり冷えた。
今さっきプラッツから帰宅し、和ちゃんに昼食までの時間、ビニール袋たたみをしてもらっている。調子は良さそうで、スムーズに事は運んでいる。もう終わりそうだ。昼食までの予定が狂ったけど、良い誤算だ。
和ちゃんとプラッツからの帰路、和ちゃんに“いくつ”まで数えられるかチャレンジしてもらった。49で一旦停止。50という数字が口にできなかった。50を教えると、99まで進み、100でストップ。100を教えたけれど、それ以上はもがき苦しんでいるのでお終い。
良くできました。
帰路、和ちゃんが暑いと言うのでオレンジ色のジャンパーを脱がす。オレはそうでもないのだけれど、和ちゃんはエネルギーをかなり燃やしているようだ。帰宅してから汗をかいてることが多いから。
そして今朝、和ちゃんは見事なウンコを放出したらしい? やはり昨日は出てなかったのだと思う。オレはその報告を受け、改めて和ちゃんの肛門付近を殺菌効果のあるフォームタイプというやつでフキフキ。確かに放出の名残があった。
またまた、和ちゃん良く報告できました。
しかし、こんな小春日和に....書くの止めておこう。贅沢を言ったら切りがない。

★1月20日
いやはやと。今日は今朝からなんだか忙しかった。
というのも、週間天気予報を確認したら、今週の木曜は最低気温が“−5度”となっていて、しばらくオレは沈思黙考した。結論は、
「ヤバイナこれは!?」
今朝は和ちゃんがデイサービス・和みのときに出陣する日。お迎えの北の迫さんに灯油を買ってきてくれるようお願いした。これは北の迫さんとオレの友情関係で動いてもらったわけで、公私混同ではない。もう、10年からの友人関係なのだから。二人だけで数回、お酒も飲みにいってるし。だから、デイサービス・和みのときへ安心して和ちゃんを預けることもできる。彼女の人間としての優しさに、オレは太鼓判を押せる。
さてさて、今、ファンヒーターを稼働している。試し運転というやつだ。なにせここ3年、炬燵だけで暮らしてきたからファンヒーター様にお伺いをたてておかなければならない。お元気ですか?
 そろそろ消そう。30分。ちゃんと稼働したから。しかし、部屋の中を15度設定にしたら暑い。省エネ設定に進化しているのだろかオレの身体は?
和ちゃんを送ってオレは林病院へ。和ちゃんの降圧剤をもらいに行ってきた。午前11時半の予約だったのだけれど、今日は薬だけをもらうというのではなく、オレは担当医の林先生に和ちゃんの様子を知らせる特殊任務をおびていた。という理由もあって、林先生からお呼びがかかったのが午後12時半。オレは午前11時には病院にいたから、1時間半、姿勢を正して待っていたのです。疲れましたホンマ!!
あと10分で和ちゃんが帰ってくる。そろそろ和ちゃんモードに気持ちを切り替えよう。