1月21日〜2月11日
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日記TOPへgo! ★1月21日 明日(21日)の日中の最高気温が今朝の週間天気予報では3度だった。明日は和ちゃん、デイサービスはお休み。ということで普段なら買い物に出るところだけど、3度という寒さでは和ちゃんの外出は厳しい。だから、食料を少々買いだめしてきた。一日中、二人で家に閉じこもる予定にしていたのだから。 ところが、帰宅して午後の予報を確認すると、明日の最高気温が8度になっている。これなら買い物に出られるけど、やはり予報というのは難しいのだろう。ただし、明後日の最低気温はキッチリ“−5度”。和ちゃんに風邪をひかせるかどうか? というのはこの二三日が勝負かもしれない。極力注意!! さて、今朝一番でオレが住む地区担当の民生委員さんに会ってきた。というより、岡山市が制度を設けている介護慰労金(年度内に半年以上、在宅介護していれば申請・請求できる)の手続きに民生委員の押印が必要なのだ。この地区の民生委員さんはオレと同年代? の女性で、スコブル愛想がよく気配りのできる人で助かる。横柄な民生委員の実態も介護職の間から聞こえてくるが、彼女は和ちゃんのこともねぎらってくれて感謝感謝。妻としても母としても素敵な女性に違いない。ご主人が羨ましい。こんな時、オレはオレ自身の人生に不幸を感じる。自業自得? 彼女も実のご両親が80歳を過ぎ、それでも田舎で二人暮らしを続けていると言う。どちらかが倒れでもしたら? これから先に幾分の不安を抱えている等々、話が弾んだ。そうそう。去年もそんな雰囲気下で事は運んだのでした。 岡山市の介護慰労金は4万円。ただ、民生委員の世話になるということで、この介護慰労金を申請しないお年寄り・その家族も少なくないらしい。確かに、 民生委員にお願いする=御上のお世話になる=施しを受ける という構図から抜け出せない人たちも多くいる。オレだって、少し前までそうだったのだから。高齢者にとっては、日の丸に対しての意地・見栄もあるのかもしれない? 素朴な疑問。 介護慰労金を申請するのに、なぜ民生委員の押印が今も必要なのだろう? 和ちゃん担当のケアマネジャーを始め多くの介護関係者がオレと和ちゃんの在宅介護を認知しているし(他で介護をしている家族についても把握しているはず)、岡山市から要介護度2というランク付けもされているのに。 “野田明宏さんは、野田和子さんの介護をちゃんとやってますよ” というお墨付きの意味合いなのだろうな、きっと!? とはいえ4万円。オレたちにとっては、とってもありがたい。 ★1月22日 現在時は21日の午前9時24分。今朝の冷え込みは穏やかだった。そして、和ちゃんの目前でファンヒーターを稼働。部屋はシッカリ暖かくなり、和ちゃんにファンヒーター付近に勝手に近寄らないよう指導。とりあえず形式。今は消しているけど、どちらにしても、オレが数分だけでも部屋を離れる時にはスイッチoffにしておこうと思う。 さて昨日、高校野球関係者のI氏から電話相談。母に痴呆の症状が出てるのではないか? オレも簡単には応えられないので、医師とか痴呆専門の介護関係者を紹介するむね伝えた。痴呆としても? まだまだ初期以前の入門コース付近。今からシッカリとフォローすれば必ず良い方向に進むはずだ。I氏にはしっかりとお母さんを見守って欲しい。今からなら、アリセプトだって十二分に効果が期待できる。 ただし、痴呆の症状らしき行動・言動が認知されるのは週に一度程度らしい。こういう人を、精神科の病院に同伴するのは難しい。強硬な拒否反応を覚悟しておく必要があるだろう、ということも伝えておいた。 さてと。時間は少し飛んで、和ちゃんとコープに行ってきた。和ちゃんの足取りはスコブル勢いが良かった。帰宅して直ぐにうがい。 「♪♪ガラガラガラガラ♪♪ 美味しかった!」 水を飲んでしまった。困ったもんだ。 ★1月23日 今朝は極寒だった。予報通りに最低気温は“−5度”近くに。 今現在は22日の午前8時43分。岡山地方気象台のHPに飛ぶと、午前8時の岡山市気温が“−4.1度”。ファンヒーター様のお陰で、なんとか震えがくることはない。 ということで、和ちゃんは少し前、元気にデイサービス・ゆう倶楽部へと鹿村さんのご主人が運転する車で出陣して行った。極寒とはいえ、雪が降ってないだけ助かる。路面凍結もしてない様子だし。 オレは今日、一日中、家にこもりたいのだけれど買い物がある。今日は昼過ぎから出るか? 午前中はまだ氷点下らしいから。今日の最高気温2度。岡山人にとっては猛烈に寒い。 とにかく、今日は和ちゃんが、ニコニコニッコリ元気で出陣してくれただけで二重丸。 ps コープへ買い物に行って、寒すぎるので速攻で帰宅。そして、ケイコさんにメールを打って、和ちゃんの明日のデイサービスでの下着の替えなどを準備しているとチラチラ雪が舞っている。 またまた岡山地方気象台にアクセス。ところが、なぜか気温のところが記されてない。ジャンプ。山陽放送の天気予報へ。なんと、午後3時現在で岡山市は“−2度”。 暖冬じゃなかったんかい?? 怒るでホンマにホンマ!! ★1月24日 和ちゃん、今朝(23日午前9時)も元気にデイサービス・和みのときへ職員の湯浅さん運転する車で出陣して行った。今回の爆弾寒波はなんとか乗り越えられた様子。もっとも、新たな爆弾寒波が後方に位置しているらしく、厳しい寒さはあと数日間続くらしいからまだまだ油断大敵だけど。 さてと。和ちゃんが今朝早くに泣いた。オレがキッチリとドズイタからだ。というのはウソです。 実は、“ウンコを出しました”という報告を受けたので、キレイに拭けているか確認のためトイレに逆戻りしてズボンを下ろしてもらった。 「和ちゃん、ちょっとそのまま。もう一回拭くから。ヨッシャ。ようできたでホンマ今日は」 オレはいつもの殺菌効果のあるフォームで肛門を拭いた。優しく優しく。でも、付着する名残物はなくキレイに拭けていた。そして、部屋へ入って炬燵に足を入れるなり、和ちゃんが泣き出した。 「どしたんなら和ちゃん?」 「優しゅうしてくれて、ありがとう」 参った!! 感謝を忘れないこんな和ちゃんがいるから踏ん張れるのだけれど、和ちゃんに言わせると、和ちゃんの息子はどうしようもなくダメらしい。和ちゃん曰く、 「私の顔を見ても知らん顔じゃから」 いつ、どこで会ったのか知らないけれど? 夢の中? そういえば、デイサービス出陣前にスヌーピー絵柄のトランプに顔を向けて、 「この鏡、映らんなあ?」 と悩んでいた。映るわけないのだけれど、“鏡”という語彙と、“鏡に顔が映る”ということは理解している。 エライ!! ★1月25日 ファンヒーターを設置してあるオレと和ちゃんが寝起きする部屋は、今や、洗濯物干し部屋へと化けている。和ちゃんのデカパンから冬物厚手の肌着等々が天井から吊され干されている。干しているのはオレだけど、しかし乾きが早い。これで、加湿器を部屋に設置してなかったら即乾。もっとも、47歳にして潤い肌の持ち主であるオレの肌もバリバリかも? 潤い肌=脂性ではありません。そこんとこヨロシク!! さてさて、今朝は穏やかに晴れ渡っている。風もほとんどなく、和ちゃんがデイサービスお休みなので買い物には最適だ。冷えていても、風さえ吹いていなければ和ちゃんは小気味よく歩く。風が強いと、体重が40キロあるかないかの和ちゃんは身体が揺れる。用水路に沿った田んぼのあぜ道を少し太くしたような道も歩くので、転倒等には注意を払っている。用水路に沈没の可能性も充分にありえる。常にアンテナを張っている必要があり、これは想像以上にオレの神経を刺激し疲れが溜まる。 今朝、和ちゃんはウンコを一つ落としたらしい。ウンコを出したあとは必ず報告してくれるから。もしかすると、オレが和ちゃんから“ウンコがでたよ”の報告を受けると喜ぶのを記憶しているのかもしれない。かといって、ウソをついてまでオレを喜ばす術は今の和ちゃんにはないし、アルツハイマーの人はウソがつけませんね。 24日9時半。もう少ししたら和ちゃんと買い物に出よう。元気を出して!! しかしなあ、右手人差し指の第一関節辺りがアカギレ状態。PCを打つとピシッとくる。 オレも生活感が漂い、それを通りこして溢れっぱなしになったなあ!! 哀れ。 PS 本日2度目の日記 プラッツへ買い物に行って、帰宅して肉うどんを食べ、和ちゃんはNKHのクイズバラエティーを観ながら大笑いしている。そこそこ・意味・内容が理解できるのか? というのも、プラッツからの帰路、カーブミラーに貼られている“注意”について読ませた。 「和ちゃん、読めるか?」 「ちゅう? ウウい。ちゅうい?」 「意味は分からんじゃろ?」 「『泥棒に入られたらいけんよ』みたいなことかなあ?」 ここで質問した“注意”とは意味合いが全く違うけど、的はずれでもない。周りの環境が把握できていればこんな回答にはならないのだろうけど。どうなのだろう? ただし、“泥棒”とかの語彙は記憶にある。和ちゃんのアルツハイマー病は確かに進んではいるけど、まだまだ鈍行並みで小康状態に近いような気がしてならない。これも、通っている二つのデイサービス職員皆さんのお陰だ。 老人介護施設現場では問題も多い。そして、魑魅魍魎な人間関係も絡み合って退職者続出。これでは、痴呆を病んで施設を利用している老人の心の把握などできるわけがない。そんな中、和ちゃんの通うデイサービス二つでは職員の入れ替わりがほとんどない。和みのときでは開所以来、職員は増えても退職者はいない。和ちゃんは開所三日目から通っている利用者第1号。一方のゆう倶楽部にも1年半になる。1年半も中途挫折なく通い続けられたのも、職員皆さんが和ちゃんを把握していてくれるからだ。 利用者家族にとってこれほど安心できることはなく、これからも現状維持してもらえればと願う。 ★1月26日 ゆっくり眠りたい。というか、何もしないで昼頃まで布団の中に潜り込んでいたい。 そう。今日は25日で日曜日。別に日曜だからというのではないけれど、この1年半、和ちゃんの血圧降圧剤の薬服用等もあって朝寝坊はしたことがない。規則正しすぎるほどちゃんと起床している。夜も出歩けないし。 まあそりゃあ、キッチリ午後7時前後から爆睡に突入してくれる和ちゃんには助かるけれど。 確かに痴呆を抱える家族としては贅沢な悩みだと思う。徘徊はしない。金銭を盗られたとも言わない。ウンコの拭きが悪くなったとはいえ自分で始末できる。他人を中傷もしない。妄想はあるけど、聞いてやればいい。 今現在、良性アルツハイマー継続中。 しかしなあ、これは、オレ自身を過大評価するわけではないのだけれど、オレの犠牲の上に成り立っているとも言える。オレが、オレ自身のためだけに使用できる時間なんて限られているのだから。 今朝も和ちゃんが何度かクシャミをした。熱を測り、異常なし。とはいえ、葛根湯を飲ませた。正直、オレは気疲れしている。 昔、中央アメリカに2年滞在していた頃、グアテマラのコレラ病棟を覗いたり、エルサルバドルで政府軍パトロールに同行したり、ニカラグアでは警察機動隊と労働運動団体の小競り合いの最中に写真を撮っていた。 あんな自由がもう一度欲しくてしかたがない。 無理を承知で書いている。自由が欲しい。 でも、あの自由を後方支援(経済的側面も含め)してくれたのは和ちゃん。和ちゃんあってのオレでもあった。忘れてはいけない。 そして結局、今日も寒風ビシバシ吹く中、和ちゃんと買い物に行ってきた。和ちゃんはフードを被り、買い物袋を両手にぶら下げ元気イッパイに闊歩していた。 ★1月27日 なんか知らないけれど、今朝もこうやってPCに向かって日記を書いている。毎日々々ご苦労様ってな感じだ。連日、次から次ぎへと書くことがあるなあ! とも思う。新年に入っての1月はパーフェクト。逆に考えれば、日々問題あり、とも言える。 今朝、和ちゃんは普段通り元気にデイサービス・和みのときへ出陣して行った。弁当箱が入っているとかで、オレの用意したバッグ以外に自分で準備したもう一つのバッグを持って行こうとする。弁当箱など入っていない。なんとかなだめて、一つだけにしてもらった。バッグの中身は、肌着の着替えとかタオル。それに歯磨きセット等。ただ、防寒肌着だからかなりかさばる。 で、オレは和ちゃん出陣後、風呂に水を張った。風呂付近に暖房器具はないからこの爆弾寒波の時期は酷寒。今日26日は日中の温度が8度まで上がるらしいから風呂を沸かそうか悩んでいる。二日間入ってない。三日前に入った時は、目頭にピーーンと突き刺すような痛みが走った。体感温度3度ぐらいじゃなかったかなあ? 裸になったとき。 それからもう一つの悩み。風呂の水を替えてない。残り湯を捨てず、そのまま水を足していっている。去年から継続して一ヶ月間と少し、この有様が続いている。オレだけが入るので問題はないけれど、しかしなあこれは? と自問自答。早い話が風呂掃除をするのがめんどくさい。別に、今日も入らないで構わないのだけれど、段々アチコチが痒くなっている。まあ、臭いは放散していないから、もうちょい様子を観るかな? いろいろ他人さまのHPを覗かせてもらうけど、こんな恥はさらしてないもんなあ。 誤解があると困るので一つだけ。下着は最低でも二日に一回は替えてます。和ちゃんの洗濯物があるからそれと一緒に。 以下は朝日新聞からの興味深い記事 アルツハイマー病、早期診断へ新物質開発 大阪の企業 ★1月28日 結局、26日も風呂に入らなかった。日記がかなり時間差になっているのでオレ自身も日付の後先を確認しながら書いているのだけれど、27日の今日も、あまり温度が上がりそうにないので入浴なしと考えている。少々身体が痒くても、風邪を引きたくないからだ。オレの身体の調子が悪いと、和ちゃんへの悪影響が大きい。忍耐する力が、体調不全だと激減する。 さて昨日、和ちゃんがデイサービス・和みのときから帰宅して直ぐ、ちょっとジャレていた。面白可笑しくしていると、洗濯バサミを発見。イヤリングのように和ちゃんの耳たぶにぶら下げる。途端、和ちゃんの悲鳴。 「イテー!!」 そして、泣き出した。 オレが洗濯バサミを耳たぶに挟んだ瞬間、和ちゃんは身体を後退したのだ。つまり、洗濯バサミで耳を引っ張った形になってしまった。あまりに泣くのでオレ自身で臨床実験してみたら、キャー!! イターーーイ。和ちゃんには申し訳なかったけど、オレはスコブル可笑しくなってしまい大笑い。泣きの和ちゃんはふて腐れてしまった。スキンシップをしているとこんな不測の事態も起きる。ゴメンナサーーーイ。 オオッ!! 忘れてはいけない重大事。 今朝、和ちゃんがトイレに入って出てこない。ウンコかなあ? オレは外から声をかけた。 「和ちゃん。ウンコか?」 「うん。今、二つ目が出るところ」 オレはどんなウンコを放出しているのか興味津々。トイレに入ると、肛門が張り裂けそうになってウンコの先が出ている。しかし、なかなか顔しか出さない。 「和ちゃん。踏ん張れよ」 「もうちょっとなんじゃけどなあ?」 と声を発した途端、捻りが入った巨大ウンコがヌルヌルと出だした。見事な黄金色。長さは10センチ強。太さの一番太い部分はオレの親指と中指を丸めてた以上にブットイ。よくもあんな巨大ウンコが出るものだと人間の構造に感心する。それも二つ出たというのだから。別に何日も便秘しているわけでもなく、昨日も出している。 オレは正直、大笑いしながら和ちゃんの肛門を拭いてやった。これほど嬉しく和ちゃんの肛門をフキフキするのって、オレは異常? 和ちゃん自身が行うフキフキでは絶対に拭きもらしがる。もっとも、切れがいいのでペーパーにあまり名残物は付着しなかったけど。 しかし、今日は朝一番から素敵なモノを拝ませてもらった。感謝。 とはいえ、和ちゃんのプライバシーは完全消去されてしまったなあ!! 高齢者虐待オンブズマンから訴えられたりして? ★1月29日 一度ファンヒーターを使用し始めると、今度は別の意味で温度調整に苦労する。今日28日の日中の最高気温は11度辺りまで上昇するとのこと。今さっき二人で肉うどんを食べ、身体が暖かいを通り過ぎて暑い。今はファンヒーターを切っている。 様子をみて再点火ということになるのだけれど、和ちゃんとオレの肌感覚にかなり違いがあり、和ちゃんの方がオレより暑さにも寒さにも強い。昔から頑健ではあったけど、言葉で上手く表現できない和ちゃんだから必要以上に注意を向けなければ。 プラッツに行ってきた。足取りはスコブルいい。今朝はウンコが出なかったので、“ひじき”“ごぼう”“ヨーグルト”を買ってきた。これだけ食べさせとけば、たぶん、明日の朝はスコーンと出すと思う。 今回の爆弾寒波も一段落。風邪も引かず、オレもホッ!! としている。 そして昨日、結構暖かかったのでオレは風呂に3日ぶりに入ったのだけれど、最後にタオルで身体を拭いていると垢がポリポリ。拭けば拭くほど身体に湧き出る垢の量が増えいく。オレは、新陳代謝が良すぎるのだろうか? ★1月30日 今、風呂を沸かしている。オレの適温に暖まるまで小一時間はかかる。ガスで沸かしているのだけど、なんせ20年近く使用している年代物だし、水は冷えてるし。そんな時間を有効利用してこの日記を記しているわけです。 和ちゃんは29日の今朝、ニッコリ笑顔でデイサービス・ゆう倶楽部長浜へと出陣していった。といっても、出陣のわずか3分前までは泣いていた。いろんなモノを小箱に詰め込んでデイサービスに持って行こうとするから、強制執行で取り上げたら、 「それは学校でいるんじゃ。返してチョウデー」 と泣き出したのだ。そうこうしていると、お迎えの車が到着。 「和ちゃん。学校じゃあ。GO GO GO ゴー!!」 そして、お迎えで待ってくれている鹿村さんのご主人の顔を見て、 「おはようございます。どうもどうもスミマセン」 ニッコリ笑顔に豹変? ヒョッとすると、和ちゃんは結構な強者かもしれない。 さて、オレは今日、市民病院へ自律神経失調症の薬を処方してもらうため行ってきた。市民病院まで、岡山駅からはチンチン電車で向かうわけだけど、この始発駅で質問されえた。 「エキスキューズミー」 まず、こう問われた。外見・容姿は日本人。たぶん、韓国・台湾・中国? いずれかの国からのバックパッカー旅行者だと思う。オレが初めて、バックパッカーとして日本を離れたのは四半世紀前。当時は、旅先で日本人かもしれない? という東洋人はほとんど日本人だった。特に共産圏では。赤いバッジを付けた北鮮からと想像される人たちも見たけど、彼等は旅行者ではないはずだ。時代は変わった。 そして、ガイドブックの吉備津彦神社の写真を指して、英語でここに行きたい、と言ったと思う。オレは改めて尋ねた。 「アイウォントゴーツーヒアー?」 オレは正しい日本人だから、正しいジャパニーズイングリッシュを使う。 彼は笑って頷いている。オレは慣れない英語を駆使して、岡山駅構内にあるインフォメーションで聞くよう頑張った。そして、彼はサンキュウーと言い残しインフォメーションに向かったのだけど、キャー!! 「“アイ”ウォントゴーツーヒアー?」ではなく、「“ユー”ウォントゴーツーヒアー?」と問いただすのでは? 参ったマイッタ。スペイン語でなら、吉備津彦神社まで詳細に教えてあげられたのに。 しかし、周りに誰も日本人がいなくて良かった。だって、スッゲエ恥ずかしいもん。 とはいえ、英語の箇所をアルファベット表記できないオレがスコブル情けない。 でもね、こんな些細な出来事でも、拘束ばかりの在宅痴呆介護最前線にいるオレにとっては“事件”なのですよ。 ★1月31日 今日はデイサービス・和みのときへの日。ついさっき10分前に、北の迫さん運転する車で元気に出発して行った。今日も小箱に、“学校で必要なモノ”という和ちゃんにとっては大切なモノを詰め込んでいたけれど、今日はそれをビニール袋に入れてやり持参させてあげた。 何年か前の年賀状1枚。スヌーピー絵柄のトランプ2枚。中四国地方のポケットガイドブック等々。いつものバッグがはち切れんばかりに膨らんだ。 そして今朝、またまたウンコを放出。最近は、和ちゃんが上手く拭かないのでフキフキはオレの役割分担になりつつある。観察していると、拭くトイレットペーパーの量が少ない。つまり、トイレットペーパーを重ねた厚さが薄く、ちゃんと拭いても臭いが手のひらに残るのだ。この指導は難儀だ。 ところで昨夜、29日の午後7時から30日の明け方4時半まで和ちゃんが起き出すことはなかった。トイレに行かないから起きないのだけれど、9時間半だ。オレは助かるけど、辛抱たまらずオレは和ちゃんを起こしトイレに行くよう促した。 その後は、5時半、6時40分とトイレへ。目が覚めているとトイレが近い。とはいえ、デイサービスでお世話になってる時間内では一回が当たり前になっている。ここら辺りの排尿リズムは未だ掴みきれないでいる。 さてと、今日はなんだか小春日和。岡山へ茶でも飲みに行ってこよう。 ★2月1日 早い・速い・はやい。 今日は1月31日。文字通り、過ぎてしまえば“アッ!! という間”だった。 ところで今、NHKではニュースをやっているのだけれど、大阪岸和田での我が子15歳少年への虐待事件について解説している。冒頭、虐待という言葉がアナウンサーから出た。すると和ちゃん。 「ここ(我が家)もじゃが」 と一言。 この人はいったい、どこまで現実を把握し記憶しているのだろう。確かに、オレが和ちゃんを何度か叩いたことは認めるが、和ちゃんの記憶から発せられる言葉と現実は格段に異なる。和ちゃん曰く、 「頭を叩かれ、背中を棒で叩かれ、脚やこうバットじゃからなあ!! 皆、私のことをアホウアホウ言うけど、アホウにもなるよホンマ!!」 ここまでスラスラ言葉にして表現できることはないのだけれど、ニュアンス的にはこうだ。もっとも、オレの顔の表情が阿修羅のごとく豹変したことも屡々。そんな表情が、和ちゃんの記憶の中で猛烈に膨張しているのかもしれない。 反省も後悔もしているのだけれど、オレはオレ自身の人間力不足で連敗中だ。 たまには勝利の女神さまとデートしたいなあ!! でも、嫌われてるのだろうなあ?? ★2月2日 いよいよ2月に突入。オレは今月で48歳になる。シブイ!? さてと。今さっきプラッツから帰宅したばかり。うがいを済ませ、和ちゃんはビニール袋をたたんでいる。仕事を与えると嬉しそうだ。楽しい、というのが伝わってくる。 そうそう。今朝一番で和ちゃんに掃除を手伝ってもらった。といっても小型掃除機本体を1分程持ってもらっていただけなのだけど共同作業が楽しそうだった。 で、なぜ共同作業に至ったのか? ファンヒーターからは温風が出る。斜め上にも向かっている。その方向に蛍光灯があるのだけれど、オレはその真下にいて、上から塵の塊が落ちてきた。蛍光灯をよくよく見ると、蛍光灯の上部に塵が5ミリ程度蓄積しているではないか。塵が積もっているのだ。それが温風力に揺さぶられてオレに舞い降りてきたという次第。見て見ぬ振りをする時は過ぎ去ったのかもしれない。 今日も小春日和だなあ!! ということもあり、和ちゃんのプラッツ往復はアップダウンを多めに組み込んだ。上り、下り。上手く歩いていた。これなら当分、足腰に負担のかかるウンチングスタイルの姿勢もこなせるだろう。 ★2月3日 久々に雨降る2月2日。降るというより、パラツクと表現した方が妥当か? 和ちゃん。今朝も元気にデイサービス・和みのときへ。出陣前、和ちゃんがオレに一言。 「また一緒に寝ような」 オレと一緒に寝ていることさえ頻繁に忘れるのだけれど、こう言われてしまうと本当に愛おしい。 ところで和ちゃん。昨夜の午後7時に就寝。そして、今朝午前5時にトイレへ行くまで布団から出ず。10時間、オシッコも行かず眠れてしまうのだから羨ましい。ウンコも一つ落下させ絶好調。 今日の和ちゃんは精神的にも肉体的にもオレよりはるかに充実しているのではないだろうか? この絶好調に、未来への不安を抱くオレがいるからアルツハイマー病はジレンマでありアンビバレンツ。 「オレの働き盛りを返せーー バカヤロー」 などと、定かではない未来にほざいているオレは嫌だから。 だけど、こんな中年女性はいるかもしれない? 「ワタシの純な青春とカネ返せーー アキヒロのバカヤロー」 ★2月4日 今朝早々に原稿を一本送り、少し長文のメールも3本送信し、そんなところへ高校野球部の後輩から“今日時間くれ”の電話。1月はシッカリ書き込んだし、今日は日記さぼるかな? という気分で玄関を出ると、福祉事務所から封書が届いている。 「オオッ!! 介護慰労金の支払いの通知じゃがな。4万円ゲット」 オレの脳は高速フル回転。封書を開くと、違った。和ちゃんの介護度が判定され、その通知だった。判定結果を見てオレは呆然。要介護2だった介護度が要介護3にアップしている。アメリカ映画ならこんな時、 「オウマイゴッド」 と呟くのだろうけど、オレは黙考。そして、なぜ? の疑問。 そりゃあ、介護度が上がればサービス利用幅も増える。 しかし、だ。要介護2から3では利用者側の支払いもググッとアップする。要介護2から3は利用者にとって鬼門なのだ。もちろん、実際問題としてそういう状態なら致し方ない。ただ和ちゃんの場合、以前と変化はない。要介護2でいいのだ。 さっそく担当のケアマネジャーである長谷川さんに電話。どうアップするか試算してもらった。 和みのときでは、4〜6時間設定だから一日200円アップ。 ゆう倶楽部長浜では、6〜8時間設定なので一日300円アップ。 となると、これまでより月に4000円強の支払いを負担しなければならない。オレは聞いた。長谷川さんに。 「過去に、要介護度の繰り下げ不服請求の経験はある?」 ない。とのことだった。 オレは知り合いのケアマネジャー4人に電話して同様の質問をする。皆様、ない、との回答。 オレは今、前代未聞の要介護度繰り下げ不服請求を諦めた。 ★2月5日 立春かあ!! まあ、2月4日がどんな日であれ、オレたち二人の生活には無関係。年末も正月も1年365日のうちの1日でしかなかったのだから。メリハリがない。 今日はプラッツで買い物する前に百均に寄った。針金を買いに行ったのだけれど、和ちゃんは結構興味深そうにオレが立ち寄る場所で品物を見つめていた。そして、オレが動けばトコトコトコトコついてくる。オレが親で和ちゃんが子。 横断歩道では、和ちゃんと手を繋いで歩くよう心掛けている。信号が青になるまでの待ち時間から。 「連なってるなあ!!」 信号待ちしていると、車が次から次ぎへと走り去っていく。それを眺めながらの和ちゃんの声だ。 「ぎょうさん通るけど、あれは何?」 こう質問すると和ちゃんは答えられない。 暑い・熱い・寒い・冷たい・大きい・小さい等の形容はできるのだけど、車を車と言えないし、車か自転車が電車かも判らない。判らない事だらけだけど、まだまだ感情は豊富で、笑ったり泣いたり、それに滅多にないけど怒ったり。感情面はメリハリタップリの和ちゃんだ。 今日の昼も肉うどんをシッカリ食べた。汁まで残さず。美味いんだったら、血圧もスコブル安定しているし塩分など気にせず食べればいい。そして3日連続でウンコを落下させた。絶好調!! ★2月6日 今朝、ボタン雪が瞬時だけど舞った。路面がホンワカ雪景色。風情がある。 てなことに心奪われている暇はない。デイサービス出陣前はスコブル多忙なのだから。 もっとも、今日は特別記すこともない。長閑な一日の始まりで、和ちゃんは今朝もウンコ放出。基本的に便秘気味の体質であることは、和ちゃんが凛としていた頃に聞いていた。一週間、出なくても平気なようなことも言っていたと記憶している。だから、四日五日でなくてもあまり心配はしない。 その和ちゃんは元気にデイサービス・ゆう倶楽部長浜に出陣したし。ということで、5日の日記は終了。 ★2月7日 今朝は猛烈に腹が立った。約10分、和ちゃんを痛烈に罵った。和ちゃんも逆襲で、オレの手を必死の形相で握り、床をドンドンと踏み鳴らした。 デイサービス・和みのときから湯浅さんがお迎え。その目前でも、 「このクソババア、早うせえ」 こんな事は初めてだった。 今はまだ怒りが先行しているけれど、後々やってくる自己嫌悪が恐ろしい。もうそこまで来ているみたいだ。 怒り狂った理由は長くなるので書くのがめんどくさいけど、昼前に、和みに電話確認してみよう。落ちついて楽しんでるか? オレが和ちゃんなら平常心ではいられないな。叩いたりはしていないのだけど。 でもヤッパ考える。なんでオレの人生、こんなわけ? この1年半。友人たちとの交友も控えて、和ちゃんにオレの人生を捧げてるのに。 オレの神経回路をブロードバンド並みにしたいなあ。今の容量では足りなくなってきているのかも? ●●●● 午後になった。コープで買ってきた焼きそばを食って、しばらくしたら眠っていた。昼寝。なんか久々だ。 コープに出るまえ、デイサービス・和みのときに電話を入れた。受話器を取ったのが湯浅さんで、オレは聞いた。 「車の中で変わりなかった?」 「少し気にされていたようですけど、特別なことはありませんでした」 「血圧測った?」 「大丈夫です。普段と変わりありませんから」 ヤレヤレだった。そして和ちゃんに受話器を渡してもらった。 「もしもし」 蚊の鳴くような声が聞こえてきた。 「和ちゃん。シッカリ遊んで、シッカリ食べて帰ってくるんで」 「ハイ」 このハイは元気が良かった。オレも少し元気になり、コープへ出、これから三日ぶりに風呂に入ろうと思い立ち、今、湯を沸かしている。 ★2月8日 広島在住の大学教授・住居先生の紹介で今日7日、岡山で中国新聞者の方と会ってきた。会話は弾んだ。同年生まれ。とはいえ、相手はデスクの身分。一般記者を統括する地位でもあり、オレみたいなフリーとは社会的地位がスコーンと違う。しかし、会話が弾むということは、それを全く意識させない真摯であり、ユーモアを持つ人だった。 で、なぜお会いしたかといえば、予定通り事が進めばこの3月始めより、オレは中国新聞で連載を持つことになる。週間で。もちろん内容はオレと和ちゃんのこと。そして早々に、できればOKは欲しいけど、最初なので文体等の問題もありサンプルとして一本送信した。なんか最近、PCと葛藤することばかり。しかし、ホンマにホンマ、ありがたい。来週からは、インターネット新聞・JanJanにも、この日記のダイジェスト版? がアップされることにもなっている。 でもなあ? とも思う。和ちゃん。和ちゃんの与り知らない所で事は全て進み、知らないうちに、和ちゃんはちょっとした有名人になってしまうのだから。 和ちゃんに断りを入れた方がいいのでしょうか? ★2月9日 実は昨日、土曜日だから和ちゃんはデイサービスはお休みの日だった。もっとも、昨日書いたような事情もありデイサービスに行ってもらったのだけど、和ちゃんはなんの躊躇いもなく出陣。いつものように、ゆう倶楽部長浜からお迎えの鹿村さんに笑顔を振りまいていた。 8日・日曜日の今朝も出陣の準備をしている。準備といっても、オレから見ればいろんなガラクタをバッグに詰め込んでいるだけなのだけれど、和ちゃんにはこれがとっても大事らしい。 「和ちゃん。今日、学校は休みで」 「アレッ!! ホンマ?」 起床してから何度も言っているのに、思考は登校モード。何も言わなければ、連日でも登校してもらえるようにコード変更されているらしい? 「和ちゃん。もう学校慣れたろう? 嫌そうじゃねえもんなあ最近」 「ウーーン? みんな優しいからなあ。せえでも、ここが一番好きなんじゃ」 可愛いから後から抱きついてオッパイを揉むと、 「そんなことは、いけません」 なにやら、凛とした時の和ちゃんのようだった。 ★2月10日 週間天気予報によると、しばらく厳しい寒波はなさそうだ。インフルエンザ警報は出ているけど、なんとかここまで風邪を引かせることもなくやってきた。予防にビタミン状を飲ませたりもした。春までもうひと踏ん張り。オレの精神・肉体はスクワット状態だけれど、あと少しスクワットで耐えよう。 さてと、今朝は和ちゃんがオシッコしているところを、後方から3回覗かせてもらった。シッカリ、トイレットペーパーでフキフキしている。拭きは少し甘いけど、もうイイヤ。難しいことは言わない。言ってもダメだし、あまり言うと混乱するし。 この前、もっと正しく拭くようにたしなめたら、混乱してトイレの便器を拭き始めたからなあ。結局、オレまで混乱してしまい修羅場。 いい加減。いい加減。 ★2月11日 今日は疲れた。本当に疲れた。まだ、和ちゃんはデイサービスから帰宅していない。 部屋には和ちゃんの普段着であるジャージの上下が干されてある。今朝、洗濯したものだ。洗う前、このジャージ上下にはウンコが付着していた。修羅場だった。 もう書きたくない。疲れた。 市民病院にも行った。今日はオレの診断日だから。血圧も一気に上昇していた。最近は落ちついていたのに。この前検査してもらった血液検査では全て異常値なし。コレステロール値も肝機能も腎臓も、そして血糖値も良好。オレの場合、血圧だけが問題なのだけれど、オレの方がこのままだとプッチンしてテレビコマーシャルの言葉を借りれば、 「逝ってきます」 勘弁してくれよホンマ!! |