一歩から3 7.9〜7.24
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★7月9日
蒸し暑い。今日から、また雨が数日間は続くらしい。6月の暑さにも参ったけれど、大雨も困る。ほどほどでお願いしたい。
和ちゃんは普段通り、デイサービス・さっちゃん家の三木さんに手を取られ、ついさっき出陣していった。
昨日はデイサービス・和みのときで肛門付近を探索してもらったのだけれど、ウンコなしとのこと。今日と明日で粉かんてん攻撃を仕掛けてみようと思う。今朝の朝食からいっぷく盛った。
一人の人間をフォロー・サポートするということは大変なことだ。とはいえ和ちゃん、オシッコはシッカリと出る。今日になって、もう700CC出している。
しかしなあ、和ちゃんの存在をスコブルイッパイの人たちが認知していることを、和ちゃん自身が全く認知してないということは幸いなんだろうな? こんなことを書いているということを凛としているときの野田和子さんが知ったら、逆鱗しているはずだから。
和ちゃんにプライバシーなし。プライバシーはないけれど、キッチリとオレが守る。時々、痛みを伴うけれど。

★7月10日
アルツハイマー在宅介護というのは、やはり“戦”の範疇に入るのでは? と、和ちゃんがデイサービス・さっちゃん家から帰宅してからの経過で強く思う。
帰宅時、
「ウンチが出そうです?」
と報告を受けた。さっちゃん家でウンチが付着していたそうだし、尿採りパッドに薄くウンチが付いていた。直腸まで下りていること確か。早々、摘便の用意。摘便を開始。和ちゃんはスムーズにウンチングスタイルの姿勢を確保してくれた。ヨッシャ!! と気合いを入れながら掘る。粉かんてんの効果なのか? 出てくる。ただし緩い。こういう場合、硬い方がやりやすいのだけれど、まあ、次から次ぎへと下りてくる。
アッ!! と思った瞬間、和ちゃんがお尻の方に手を。その手が壁へ。ウンコがベチャ。その手で髪をいじっている。オレは肛門を掘っているからどうにもならない。オレの手にはめている医療用手袋は和ちゃんのウンコでベッチョベチョ。
とりあえず終了。和ちゃんは、それでもなんとか姿勢を維持した。約10分。ただ、足の裏にも付着。そんな所を濡れタオルで拭く。とはいえ、臭いはなかなか抜けない。
摘便後、30分して夕食。30分の間、オムツを履かせたり洗濯機を回したり、汗ビッショリのオレのシャツを2度替えたり等々キツイ。なんか和ちゃんの顔が変? 顔にウンコが付いている。メシを途中止めにして和ちゃんの顔を濡れタオルで拭く。なんだか腹が立ってきてゴシゴシと拭く。和ちゃんの顔に赤いキズができた。
簡単に書いた。ここまでの行間に、さまざまな出来事があった。
しかしなあ!? 摘便は医療行為なんだよなあ??? オレが聞いた限り、摘便をしたことのない介護職がほとんどだ。大学で教えている介護職からの転職組でもそうだ。“ほとんどだ”と記したけれど、医療行為なのだから摘便はできないのだ。経験者は、家族の摘便をしているということになる。
思うに、アルツハイマー病の周辺には看護師が必要になる。便意が消去してしまっているのだから、摘便。それでもだめなら浣腸ということになるしかないだろう。デイサービス・和みのときで浣腸をしてもらうために、主治医の林先生から了解をもらった。一種の処方箋のようなものらしい。浣腸という行為は、そういう手続きが必要になるとのこと。デイサービスで行う場合だけれど。もっとも、看護師がいなければ絵に描いた餅だ。
頻繁にホームヘルパーの医療行為云々が叫ばれる。アルツハイマーが重度になれば、摘便は必須の行為なはずだ。在宅で看ている家族は摘便を皆やっている。全国からのメールでこれは確かだ。
厚生労働省さんよ。この辺り、なんとかならないのですかね? もっとも、あんたたちはウンコには触らないはなあ!?
オレは摘便が嫌でこんなことを書いているのではない。摘便の最中、尋常ではない事件が起きるということなのです。
これから和ちゃんは、介護から看護の範疇へ移行していくことは必至。摘便辺りで嘆いていられない。でも、これから夏本番。
だけど、“さっちゃん家”も“和みのとき”もビンゴだった。当たり!! 和ちゃんのために、オレに意見してくれる。これは、なかなかできないことだ。
いつか、デイサービスに通えない日が必ず来る。寝たきりになったり病気をしたり。でも、和ちゃんは素敵な介護職方々に恵まれた。気は早いけれど、素敵な看護職に出会えたらと願うばかりだ。
9日、午後9時10分。

排便には下剤もある。しかし、これは使用を誤るとピビピーになり介護者は混乱の極み。

★7月11日
10日の日曜日。午後8時21分。和ちゃんは深い眠りに就いている。
今日一日、和ちゃんと一緒に過ごした。キャッチボールをしたときの和ちゃんの笑顔がスコブル良かった。食事は三食、食べさせてやらないといけないけれど、これもそこそこ慣れた。冷やしソバを上手く食べてくれるとありがたいのだけれど、難しい。
粉かんてん。今日は遠慮しておいた。今日はここまで、オシッコ1400CCほど放出。
そして11日の午前9時45分。和ちゃんは、とりあえず元気でデイサービス・和みのときへ。オレは今朝、シャツ3枚を替えた。汗ビッショリの連続。和ちゃんもオレからそれなりの返礼は受けた。アルツハイマー在宅介護最前線は、介護者にとっては修行のようなものだ。
以前から思っている、そして実行しようかな? と。和ちゃんが逝った後の葬儀での念仏はオレが唱えようかと。我が家は浄土真宗。南無阿弥陀仏。基本的にこの一言に魂を込めれば良いのだから。



最低、この寝顔だけは死守したい



★7月12日
11日の午後8時を少し回った。和ちゃんはTシャツのまま眠っている。まだ27度前後。もう少し気温が下がってから薄いタオルケットでも掛けてやろう。この辺りが難しい。暑いと汗をかいてるし。それを自分で処理できないからサポーターが必要になる。夏風邪など引かせられない。
今日、ケアマネジャーの長谷川さんから電話があった。明日から一泊二日でショートステイを予約していた。21日前後とぼんやり記憶していたので、申し訳ないと誤った。もちろんキャンセル。話しの途中、和ちゃんの歩行がかなり危うくなっていることを報告。すると、明日来たいというので承諾。仕事熱心な女性だ。

★7月13日
12日の午後6時20分。和ちゃんはもう眠ってしまった。また起きるかもしれないけれど、爆睡している。夕食後に歯磨きを済ませ、布団に座らせて横にさせたらスコーンと別世界へ。横向きに寝ている。オシッコが漏れる姿勢だけれど致し方ない。
そうそう。ケアマネジャーの長谷川さんが来る。長谷川さんは、和ちゃんを和ちゃんと呼ぶ。この“ちゃん”づけに抵抗勢力も多いけれど、オレは長谷川さんに感謝している。これで良いのだ。和ちゃん自身が受け入れているのだから。和ちゃんはアルツハイマーだけれど仕種・表情でシッカリ判断できる。ケアマネジャーの長谷川さんを失うかもしれない現実があるけれど、そうなると正直、痛い。



長谷川さんは、和ちゃんを「和ちゃん」と呼ぶ



★7月14日
昨夜は暑かった。どうも、和ちゃんの体温管理が上手くいかない。体温は問題ない。その体温と気温のバランスがとれず、寝汗をかかせてしまうのだ。昨夜は2度シャツを替えた。オシッコもシッカリ出しているからオレもあまり眠れなかった。
和ちゃんは眠りが浅いと、どういうわけかオシッコをパッドにしたあと立ち上がろうとする。危険。なんとかこの危険包囲網から解放されたいのだけれど、檻に入れるしか回答はない。檻を買うカネもないし、難しい? 今日は少しシンドイ。
ミネルヴァ書房から上梓する本は『アルツハイマー在宅介護最前線』と命名される。早ければ、京都では7月末には書店に並びそうだ。山陽新聞連載は今月末の水曜日から各週で、ということで決まりそう。明日、最終打ち合わせで山陽新聞を訪ねる。

★7月15日
和ちゃん、元気にデイサービス・和みのときに出陣。今朝は尿採りパッドにウンチが少し付着。微妙にウッスラと。シッカリ掘ってもらうようにお願いした。
和ちゃんは時々、突然ビックリなことをする。今朝はオレとジャレてるとき、オレの目に指を入れようとした。危うくセーフ。困ったもんだ。お茶を目で飲もうとするし。まあ、いいや。
さてと、オレもこれから山陽新聞へ出陣だーーーー。
PS
なんだか、とっても気分爽やかって感じ。
だって、洗濯物の乾きがスコブルスコブルでスピーディーなんだもん。
嗚呼!! 主夫なんだオレは...

★7月16日
昨日、デイサービス・和みのときで浣腸をしてもらった。ただ、市販の浣腸ではスッキリとはいかないかな? という声もあり来週火曜に林病院で、病院等で使用する浣腸を処方してもらうことにした。
昨夜は失敗。暑いのにタオルケットを被せたら和ちゃんは汗ビッショリ。本当に難しい。
山陽新聞連載は、7月27日の水曜日から週間で開始決定。

★7月17日
昨夜、オレは一睡もできなかった。アルツハイマー介護をしている者の宿命だろう。
昨夜の午後9時、30分間、花火が上がった。和ちゃんは1年ほど前から音が大きいものに恐怖を特に感じる。花火なのだけれど、ハッキリと、恐い、と言った。オレは抱き寄せた。その余韻か? 和ちゃんは眠りが薄かった。となるとオシッコがよく出る。花火後、朝までに4回。3回はパッド交換だけ。1回は横漏れで全て交換。和ちゃんは眠りが薄いとオシッコを出したあと起きようとするから分かる。
今朝7時前。起きあがる。パッドを確認するとカチカチウンコの塊が2個。ピンポン玉大。摘便に突入。みおさお山在宅介護支援センターから譲り受けた入浴椅子に座らせる。これがビンゴ。和ちゃんは素直に座っていた。座っているだけでいいのだから文句も悲鳴も上げない。ウンコを触ろうともしない。座るから肛門は開く。とはいえ、オレは後方からしゃがんだ姿勢で穴掘り。中のウンコは緩かった。和ちゃん、横になった姿勢での摘便は苦痛らしく、デイサービス・和みのときでも叫び、肛門をキッチリと締めるとのこと。これでは掘れない。
とにかくスコブル厳しい夜だった。和ちゃんも脚を上げない、オレに向かって体重全てをかけて落ちてくる等々のため、オレに叩かれ左上腕に痣。オレの下顎にも和ちゃんの右膝が強烈にヒット。脚を上げた途端だった。
とはいえ、オレはそこそこ踏ん張ったと思う。Tシャツは5枚が汗ビッショリ。最近、我が家は洗濯物が視界から消えることはない。
今、これを記しているけれど、ボーとしている。まだ、日曜日が始まったばかりなのに。
日記を書くことがシンドイ。少しの期間、閉じるかも? シンドイ。

PS
ここまでをアップしようとしたら和ちゃんがオシッコ大量放出。オレの布団まで濡れる。新しいパッドを取ろうと目を一瞬離したら和ちゃんが歩いて玄関へ。そして落ちた。転倒。どこをどう打ったか分からない。ガタンと鳴ったときは転げていた。
右肘にキズ。ヨードチンキを付けようとしたら和ちゃんが手で払った。ヨードチンキがオレの布団へ散った。もう滅茶苦茶だ。

★7月18日
和ちゃん、昨日夕、37.9度まで体温が上昇。今朝は36.9度と和ちゃんの平熱の範疇。デイサービス・さっちゃん家へは普段通り登校。オレはアウト。
この日記、当面の間、お休みです。日記がストレスになっているので。

★7月19日
18日の夜に書いている。今夕、オレが洗濯物を干しているほんの15秒、目を切った間に和ちゃんが壁に向かって前方転倒。唇を切り出血。顔面からドカーン。明日は唇が腫れるに違いない。
でも、脚の弱りというより、平均感覚を失っているのでは? とオレは推測している。
しかし、暑い!!

★7月21日
昨日、林病院で処方してもらい浣腸器をもらってきた。出してもらえたのは一本。しかし120CCとかでデカイ。和ちゃんの場合は子供用が良いと聞かされていたのだけれど、そこの薬局ではそれしかないとのこと。まあ、注入量を調節すれば済むことだけど、ということです。一本が110円。薬局での浣腸器が200円を超えるから、格安。1割負担。
さて、この日記はお休み中だけれど、書くことは書いておかないと後々になって思い出せないこともあるから書いている。昨夜、和ちゃんはパッドを交換した4時間後に510CCをパッドに出していた。ここまで出るとお手上げ。夜中のパッドからオムツ。そしてステテコの交換はシンドイ。和ちゃんが足を上げてくれないから交換に時間がかかる。
ただ、ポカリ系をかなり水分補給しているので脱水症状の様子はない。今朝の体温も36.6度だったし。
しかし、昨日の岡山市の最高気温が36.2度。今日も35度の予想。おじさんにはキツイ。
嗚呼!! 熟女の白いタプタプ二の腕が眩しすぎる。

★7月24日
日曜日。今日は、ここ数日間よりは涼しいような?
書きたい、よいう欲求は湧いてこない。オレは水分の補給しすぎで下痢気味。
和ちゃん。歩行がほぼ困難になってきている。先日、転倒したときの左肘のキズ瘡蓋がどうにも付かない。和ちゃんが、いろんな仕種から剥がしてしまう。
和ちゃんが入院したことを想像すると恐怖。